23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
部屋は、当然のように広かった。
全面絨毯張りなのも当然で。
ベッドなどの寝具が無いことから、ここはリースリット嬢の自室ではなさそうだ。
一通り見渡すと。
部屋の窓ぎわにあるドレープのかかった円形のテーブル。
その椅子に座る小さな背中が見えた。
その背中は、私の気配に気づくと、振り向き。
「あ」
と、丸く小鈴のような声を上げ。
立ち上がると。
長いサラサラの黒髪を揺らし。
ドレスのロングスカートを抓んで、小走りに駆け寄ってきた。
小柄な少女は、私の眼の前までやってくると。
姿勢を整え。一息深呼吸を置いて。
「こんにちは。初めまして、わたくしはリースリット・マルズ・クラスリーと申します」
丁寧な所作で、一礼と共に名前を名乗った。
最初のコメントを投稿しよう!