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――それは何千年も前の事。
しかし 魔素は有害な物質だ。
そんなものが世界に充満してしまっては、どのような動物もそのままではいられない。
だから。
世界の環境は、魔素に適応するために、あるいは利用するために、少しづつ変化を遂げていった。
まず、植物は大きく、禍々しく成長し。
時に自我をもって闊歩する植物系の魔物となった。
さらに、魔素に汚染された植物を食料にしていた草食動物も、少しづつ魔物となっていき。
魔物となった動物を食すようになった肉食獣もまた、同様の変化を遂げる。
そして精神性のモノであるということに起因して。
死者の安息や成仏といったモノを阻害し。
アンデッド等の不死なる者たちも生まれ始めた。
それだけにとどまらず、やがてその影響は当然ヒト族にも波及した。
そうしてエルフやドワーフといった特殊な人類が誕生していったのだ。
特に、魔素は過剰に摂取すると、残虐性や攻撃性を強める働きがあることで知られているが。
その作用に影響を受けない進化を遂げた新生物が、現在の人類であり。
その作用に抗う術を持てなかった狂暴な存在が、魔物、あるいはモンスターと呼ばれている。
――私が、そんなノンフィクションなおとぎ話をしていると。
いつの間にか、リースリット嬢は眠りに落ちていた。
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