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言われて、メイドと共に確認すると、馬車のバッゲージスペースはほぼ空になっていた。
道中で調理はできないため、保存の利くモノの中から、お嬢様の口に合うものを厳選してパンパンに詰め込んでいたようだが、流石にミラを除く4人と馬2頭分となると2週間は持たなかったようだ。
「これは……厳しいですね」
「ええ」
食料はあと半日分。
いや、切り詰めれば1日半ほどか。
「水は……2日持てばいい方ですかね?」
悩ましい事態だ。
ここが普通の場所だったなら。
野生動物を狩ったり、河で魚を獲ったり、水を汲んだりも出来ただろう。
けど。
ここは魔の領域だ。
常に魔素と共にあるようなモノを、『食べる』というのはリスクが高い。
なぜなら、魔素という物は基本的に毒だからだ。
長い年月をかけて、魔素に適応してきた人類と言えども、食べるという行為は危ない。特に、この濃度の高い魔の領域では。
「最悪、水は魔術でなんとかできるとして、食料の方はそうはいきませんね」
となれば。
ここにくる途中の街に戻って買い足して来るしかないだろう。
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