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「魔術で脚力を強化すれば、往復で1日といったところか……」
私の独り言を聞いていたメイドは、少し驚いて。
「水は魔術で作れるのですか?」
「ええ、水として発現した魔術の水は、性質だけを考えるならただの水ですからね――ただ」
「ただ?」
「ミネラルも何もない水ですから、とても不味い。私が言ったのはもっと別の手法です」
「と言いますと?」
「汚染されたり、泥水などの不純物を、自然水にもどす水と金の魔術で、ご自分の――」
ご、ごじぶ……?
そこまで呟いてメイドは察したらしい。
「――はいしゅ……げふっ」
私は胸ぐらをつかまれた。
「ちょっと! それはもしや、アレじゃないでしょうね!」
がくんがくん揺すられる。
「ア、アレ、とは……?」
「いわせたいのですか、変態!」
「わ、私が、言っている、のは、おしょ……」
何故かだんだんメイドの顔色が赤く染まっていく。
逆に、おそらく私の顔色は青いだろう、だって息が……!
「それが、アレだって言ってるんです! そんなものお嬢様に飲ませられるわけがないでしょ! 殴りますよ!」
なぐるまでもなく。
その前に――。
もう限界……です。
私の意識は、真っ暗に落ちて行った。
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