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さらに、少女はやや慎重に切り出す。
「お父様からお話は聞いております。セナ・アダストラ先生……ですわよね?」
背は私よりもやや小さいだろうか。
おそらく、我が教え子になるであろう少女は。
私の魔術師然とした服装、出で立ちを、マジマジと見ながら。
確かめるように尋ねた。
「ええ。今日から、あなたの魔術講師を務めます、セナ・アダストラです。セナとお呼びください」
「――! 魔術……!」
歓喜の悲鳴のようなモノと共に。
リースリット嬢が目を輝かせる。
「わかりましたわ、セナ先生!」
満面の笑みと、首をかしげて肩をすくめるような。
キュートに全フリした簡易なカーテシーのような。
その仕草は、計算から出たモノでなく。
恐らく、日頃の作法から出た愛嬌の一つだろう。
誰かに好かれる才能というのは。
魔術のみならず、全てのビジネスに有効なステータスだ。
その点、このお嬢様に憂いはなさそうだった。
あともう一つ。
お顔もプロポーションも断然可愛らしい。
これは良い武器になるだろう。
「……授業の方は明日から行います」
「はい、先生」
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