23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
「それなら……」
私はおじさんに案内してもらった食料品店で、たんまり食べ物を買い込み、街の井戸場で飲料水もたっぷり確保した。
それらは全部、『時』と『空』の魔術で縮小し、全部、魔道具に詰め込んだ。
これだけあれば暫くは大丈夫だろう
◆ ◆ ◆ ◆
早朝に魔の森を出立したはずが、買い物を終えた頃には夕方になっていた。
再び戻るために街の北門へ向かう。
すると、おじさんはまだ、壊れた建物の整理をしていた。
気づいたおじさんに声をかけられる。
「なんだ、若いの、何も買えなかったのか?」
「え? いえ、私は魔術師なので、魔術で仕舞ってあるだけです。いいお店を紹介してもらって助かりました」
「ああ……、なるほどね」
おじさんは、魔術師然とした私の身なりを見て、そういえばそうか、と納得したようだ。
「それでは、急ぎますので、失礼いたします」
そう言って、私が立ち去ろうとすると。
「待ちな……」
呼び止められる。
「はい……?」
最初のコメントを投稿しよう!