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すると、何かを放り投げられ。
私は咄嗟に掴み取った。
握った手を開いて見ると。
「属性結晶のペンダント……?」
私が顔を上げると、おじさんは「やる」とぶっきら棒に言った。
「良いんですか!?」
「いいぜ。もうそんな煤だらけじゃ商品になりゃしねぇし、もう店をやる元気も出ねえ。要らないならそのへんに放り捨ててきゃいい」
捨てる?
いや、とんでもない。
これは凄い品だ。
そのペンダントは『木』の現象核の結晶がはめられたもので。
結晶としての力は弱いが、施された金細工が名工と呼べるほどに素晴らしい出来栄えだった。
煤だって指で拭っただけで、気にならなくなるくらいピカピカだ。
おじさんが魔法具を持っていたということは、ここは――。
焦げた看板の文字は全く読めないが。
「魔法具店だったんですか?」
「まぁな」
片づけに疲れたのか。
おじさんはその場に座り込む。
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