23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
私は、馬車に向かって駆け寄る。
すると、周囲の地面が真っ赤に染まっていて、何かの赤黒い塊や白い物体があちこちに転がっていた。
そして、ずしん、ずしん、と。
後退さる巨体が目に入る。
2メートルは優に超える屈強な巨人だった。おそらくオーガ種だ。
そしてそいつの右腕は、肩から先が無くなっていた。
たぶん今しがた、砕け散ったのだ。
その理由は考えるまでも無い。
何故なら――。
「あるじ……。おそい」
巨体の目の前には、その元凶である銀髪クセっ毛の真っ白なチビっ子が立っていたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!