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目を閉じ瞑想するように、世界に新たに芽生えた『眼』を向ける。
そんなお嬢様に、世界はどう映るのか。
「どうですか……?」
この大気に満ちる魔素や、現象核を、お嬢様はどう感じるのだろうか。
「薄っすらですが読み取れます。海のようなさざ波の中に浮かぶ……赤、緑、黒、紫、黄……」
海というのは魔素だろうか。
色彩は恐らく、現象核を感じ取っているのだろう。
赤は火や熱。
緑は木や風。
黒は月。
紫は土や重。
黄は金。
この現象核に対する色彩感覚は、全ての魔術師に共通している。
リースリット嬢は息をのむ。
そうしてゆっくりと開いた瞳を輝かせ。
綺麗、と呟いた。
「――魔術の世界が、こんなにも美しいなんて、まるで……夜空に浮かぶ、虹色の星のよう……」
「星……? ですか」
言われてみれば、そうかもしれない。
私には、オーロラのように見えているものなのだが。
お嬢様には、星のように見えているようだ。
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