リースリット と 魔術基礎実習

72/137

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
 そして、現象核(オリジン)が見えているのならば、魔術――三気合成(トリブレンド)の完成は近い。  これは思ったより……。  いや、もっとだ。  むしろ前代未聞の速度で、魔術師の卵が完成するかもしれない。  お嬢様の才能や、呑み込みの早さもさることながら。 「私はもしかしたら、魔術の先生の才能があるのかもしれませんね」  思わず、私は自画自賛を口にしてしまった。  それにお嬢様はくすくすと笑って。 「それは間違いありませんわ。だって、わたくし一月(ひとつき)前まで魔術の事を何も知らなかったんですのよ?」   「そうでしたね。しかし、私はもうこんな荒療治はしたくありませんけれどね」  魔物が闊歩するような場所を利用するなんて、出来ればするべきではない。  現に今しがた、生徒たちを危険にさらしてしまったのだから。  だが、こんなにも熟達が早いのであれば、もう少し欲張りたくなるというもの。 「リースリットお嬢様」  「はい」 「……もし、早くに三気合成(トリブレンド)を習得できましたら、術式にも幾つか、チャレンジしましょうか」 「――! 術式!?」  お嬢様は初めて会った時のように。  悲鳴のような声を上げて歓喜し、目をさらに輝かせた。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加