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そして、現象核が見えているのならば、魔術――三気合成の完成は近い。
これは思ったより……。
いや、もっとだ。
むしろ前代未聞の速度で、魔術師の卵が完成するかもしれない。
お嬢様の才能や、呑み込みの早さもさることながら。
「私はもしかしたら、魔術の先生の才能があるのかもしれませんね」
思わず、私は自画自賛を口にしてしまった。
それにお嬢様はくすくすと笑って。
「それは間違いありませんわ。だって、わたくし一月前まで魔術の事を何も知らなかったんですのよ?」
「そうでしたね。しかし、私はもうこんな荒療治はしたくありませんけれどね」
魔物が闊歩するような場所を利用するなんて、出来ればするべきではない。
現に今しがた、生徒たちを危険にさらしてしまったのだから。
だが、こんなにも熟達が早いのであれば、もう少し欲張りたくなるというもの。
「リースリットお嬢様」
「はい」
「……もし、早くに三気合成を習得できましたら、術式にも幾つか、チャレンジしましょうか」
「――! 術式!?」
お嬢様は初めて会った時のように。
悲鳴のような声を上げて歓喜し、目をさらに輝かせた。
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