リースリット と 魔術基礎実習

74/137

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
 そして――。 「……ううん、見ても全く理解できませんわ」  お嬢様は、私の術式を理解しようとしているようだった。   「ミラも」  うん、まぁ、今行使した術式は、とても難解なものだったのでリースリット嬢には無理もない話だけれど、助手よ、あなたは人族(ニンゲン)じゃないからでしょう?  理解する必要も、つもりも無いという意味ですよね。  それに……。    「ミラは不器用ですからね」 「そうなんですの?」 「ええ、ひとつの事しかできませんから」   ミラは私を睨む黄金の瞳を、さらにじっとりと細める。  恐らくムっとしたに違いない。  しかし何も言い返せまい?  ふふ、この前、私をコかしたお礼ですよ。  モヤモヤし続けるがいい。 「あいたッ!」  蹴っ飛ばした石ころを私にあてて。  ミラは黙って歩き去った。   あいつめ、覚えてなさいよ!  そしてお嬢様にまたくすくすと笑われてしまった。 「やはり、お二人は仲がよろしいのですね」 「そうでしょうか?」 「はい。ところで……」 「はい?」 「先ほどわたくしのことを、リースと呼んでおいでではありませんでしたか?」   「あ……、それは、その……」  聞こえていたのか。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加