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「――何してるの?」
暇を持て余したミラに話しかけられる。
「見ての通り、工作ですよ」
真夜中。
手ごろな岩に座わり。
お嬢様もメイドも寝ているような時間に、私はとある作業をしていた。
ジリジリと焼ける匂いと、灼熱の高温。
明滅する強い眩い光源の中、私の視線はミラに向くことは無く、ただ一点を見つめていた。
「何その眼鏡」
ミラは私がかけている、まるっこい色眼鏡のことを言っているのだろう。
これは、強い光に目が眩まないように今だけ身に着けているモノだ。
そして、今の私はとても集中力を要する作業中であり、周囲に魔物が残した『火』と『熱』の現象核が残っている間にしなければならない事だった。
なので、実は今話しかけられると困るのだ。
が。
「あ……」
ミラに色眼鏡を取られてしまった。
まったく。
これ以上ちょっかいや、話しかけられると手元が狂いそうなので、私は諦めて作業を止める。
すると周囲を照らすのは、頭上の木の枝にひっかけてある魔法のランタンのみになった。
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