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視界の片隅に、ミラの真っ白なタイツに包まれた華奢な脚を捉えながら、私は加工を施している途中の『ペンダント』をランタンの光にかざして、上手くできているかを見る。
「私は、ミラほど暇じゃないんですけど?」
「ふうん」
目の前の少女の膝が折りたたまれる。
それはすぐに、丈の長いフリルだらけのスカートに隠され――。
ふわりと、量の多い白銀の髪が舞って、地面に雪のように降り積もった。
神霊だからというのもあるだろう。
そんな小さな女神は、人が目指す理想の造形を象っているように。
顔の作りも美形のそれだった。
その視線は、ランタンの淡い光を帯びて今、ペンダントに向けられている。
「……本物だね」
本物……。
ミラが言うそれは、きっと職人の魂がこもっているという意味だ。
そしてミラは精霊……それよりも高位にあたる神霊だ。
精霊は、何か一つを体現し、顕現した存在。
そんなミラの特に『物』に対する目利きにはこれ以上ない信用がある。
「腕利きの職人が作ったからでしょうね」
「で?」
で? と言われても。
いったい何に対しての、で? なのか。
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