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――まぁ、今までの付き合いからして、何してるの? に対しての事だろう。
「ペンダントの汚れ落としと、あとは文字を掘っていたんです」
「火と熱で……?」
「ええ」
超高密度に収束した超極細の炎熱の光線で、金属に溝を掘る様にして文字を描く。
とても大変な三気合成のコントロールが必要だったので、出来れば話しかけてほしくなかったんだけども。
そんな意味ありげな視線を、ミラに向けたところで、何もくみ取ってくれやしないのだ。
そして不躾だ。
「……暇だね」
ムッ。
私が暇人だって言っているのですか、失敬な。
忙しいって言ってるんです!
「それはそっちでしょう?」
「忙しいよ」
「何にですか」
もう。
あとそろそろ手に持ったままの色眼鏡を返してほしい。
それが無いと眩くて作業がし辛い。
「観察」
なんのですか?
精霊は睡眠が不要だからって、暇を持て余すのは解るけれども。
作業の邪魔はしないで欲しい。
「っていうかそろそろソレ返して」
「嫌」
ミラは立ち上がると、色眼鏡を持ったまま走り出した。
あ……!
子供か!
「返しなさい!」
立ち上がって追いかける。
そうして子供のようにじゃれ合うことになってしまった。
おかげでこの夜は全く作業が進まなかった。
おのれ。
こいつめ、覚えてなさいよ!
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