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「やりましたね、リースリット嬢。これでもう魔法学園の入学試験を受けても大丈夫でしょう」
「はいっ!」
満面の笑みと明朗な返事のリースリット嬢は、しかし突然「あッ」と何かを思い出したかのように、綻んだ表情を納めると、魔力を納め、掌を後ろ手に組んで一歩私から距離を取った。
どうしたのだろう、と思っていると。
「――ほめてくださるのは嬉しいのですが、わたくし、そのままでは素直に受け取れませんわ……?」
え?
はい?
私は一瞬、そのワザとらしくツンとした口元でそっぽを向く素振りに、一瞬どういう意味かを考えなければならなかった。
「わからないんですの? セ・ナ・先・生……?」
そして一歩半、ずずいと迫られた私と、お嬢様の距離はクロスレンジ。
あ、ああ――。
こほん。
「た、たいへん良くできましたね、リ、リース……さ、ま」
リースリット嬢――もとい、リース様は、私の返答には渋々といった反応で。
「もう、さま、は不要ですのに……」
言いながら、お嬢様は半歩分引き下がった。
私は胸をなでおろす。
しかし、出会ったばかりの時はこんなにアグレッシヴだっただろうか。
日に日に少しづつ意地悪になっている気がするのだ。
となれば元凶はアイツだろう。
最近のリース様はうちの助手から悪影響を受けすぎなのではなかろうか。
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