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『言』に、『霊』を乗せてこその言霊。
それに、新しいことに集中するあまり、ベースの技術が疎かでは話にならない。
厳しいかもしれないけれど。
すべて魔術師の通る道なのだ。
「お嬢様。籠めるタイミングは合っていますが、念が薄すぎます。ただ言葉を口にするだけでは詠唱とは呼べません、一言一句に念を封じ込めてください……特に、名称節による『術式宣言』はとても大事ですから」
「はい、先生」
名前とは、一言ですべての説明を省略して、それがなんであるかをわからせる力がある。
つまり、言葉の中で一番『力』があるのは、名前だ。
だから、属性節と固有節の練習は後回しにし、『術式宣言』だけを反復練習してもらっている。
「りーぶすえっじ!」
惜しい。
リース様の手から小さな木の葉が出た。
が、短剣には程遠い。
結局この日は術式を成功させることはできなかった。
けれど、それは普通の事だ。
むしろお嬢様の学習速度は類を見ないほどに早いといえる。
それにすでに魔法学園の入学試験に通ることは確定しているので、急ぐ必要もないのだ。
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