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「ゆっくりで構いません、このまま毎日修練を重ねていきましょう」
リース様の魔気量がかなり減ってきた。
これ以上は明日の朝までに回復する分量を超えてしまうだろう。
今日の授業はここまでにしよう。
「というわけで、続きはまた明日」
「はい! ……先生?」
私はいつも通りの快活な返事を聞き、立ち去ろうかと背を向けかけたが、思いとどまった。
何か、言葉の最後が呼び止めるようなニュアンスだったからだ。
「……呼びましたか?」
「はい……もう一度、先生の魔術を見せていただけませんか?」
なるほど。
見て勉強しようということでしょうか。
勉強熱心で私は嬉しくなって。
「良いですよ」
勿論快諾した。
「木葉短剣で構いませんか」
「何でも構いませんわ」
では一応、お手本ということで短剣から。
私は紡ぐ……!
「『木葉短剣』」
リース様は、その私の魔術を、食い入るように見つめ。
目を輝かせる。
「……は、早いですわ。それに……綺麗……」
綺麗。
それは、作り出した短剣の事ではないだろう。
私の魔力を流し込む速度、術式に過不足なく置いた魔力と言霊、ひとつひとつの技術が、今のお嬢様には見えているはずだ。
でもそれは、私がプロの魔術師だからであり――。
それになにより……。
「先生ですからね」
私は、微笑を向ける。
それにお嬢様も、くすりと屈託のない微笑を返された。
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