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「でも、名称節だけですと……なんというか……なのですの」
リース様はきっと言葉では説明できないけれど、簡略化されている部分をしっかり見れているのだろう。感心だ。
「その通り。ですのでフルキャストは品質重視、ショートキャストは即応性重視です――つまり……」
私は、言いながら術式宣言も無しに左手にも『短剣』を作り出した。
「……一つ一つが雑でも良いというのなら、こういう真似も出来るということです」
右手と左手の短剣を、近くの樹木に向かって連続で投げつける。
そうして、投げた傍から空いた手に再び生成した木葉短剣をさらに投げつける。
総じて六連投。
それが、木の幹に次々に突き刺さって、すぐに消え失せて行った。
籠めれる魔力が少なくなる分、消失するのも早いわけだ。
「……すごいですわ! 先生、投げるのお上手ですのね!」
――あれ、驚くのそこですか!?
「先生、他の術式も……!」
「良いでしょう。では次は、『地母神の抱擁』です」
そうやって、私は暫くお嬢様のリクエストに応え続けるのだった。
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