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ちなみに。
属性結晶というのは、いわゆる現象核の結晶のことだ。
天然のものは長い年月をかけて、自然の中で結晶化し、実体を得ていく。
つまりこれは、精霊や神霊の卵のようなものなわけだが。
今では人工精霊の研究課程で生まれた技術を使い、やや粗悪になるが人工でも生成されていて、巷に多く流通している。
この属性結晶があれば、術を使う時に現象核との合成の手助けになる。
特に、『火』『熱』『雷』『冷』などこれらに代表される属性は、大気や大地から現象核を調達するのが難しい場合が多いので、属性結晶がはめられた杖や、アクセサリーは必携だ。
「まぁ、このままでも悪くは無いんですけれどね」
私は、取り外した『木』の結晶を、頭上の魔法のランタンにかざす。
淡く緑色に煌めくソレは、やはり品質はあまりよくなさそうだ。
私は、カバンからじゃらり、と様々な属性結晶を取り出す。
さて、どれがよろしいでしょうか。
そんなことを考えていると。
馬車からお嬢様が、そろりと出てきた。
音をたてないように扉を閉め、抜き足差し足で馬車のステップを降りている。
メイドはそばの建物で寝ているので音は届きにくいだろうし、おそらく馬に気を使っているのだろう。
厠かな?
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