リースリット と 魔術基礎実習

95/137

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
 ちなみに。  属性結晶(クリスタル)というのは、いわゆる現象核(オリジン)の結晶のことだ。  天然のものは長い年月をかけて、自然の中で結晶化し、実体を得ていく。  つまりこれは、精霊や神霊の卵のようなものなわけだが。  今では人工精霊の研究課程で生まれた技術を使い、やや粗悪になるが人工でも生成されていて、巷に多く流通している。  この属性結晶(クリスタル)があれば、術を使う時に現象核(オリジン)との合成の手助けになる。  特に、『火』『熱』『雷』『冷』などこれらに代表される属性は、大気や大地から現象核(オリジン)を調達するのが難しい場合が多いので、属性結晶(クリスタル)がはめられた杖や、アクセサリーは必携だ。 「まぁ、このままでも悪くは無いんですけれどね」  私は、取り外した『木』の結晶を、頭上の魔法のランタンにかざす。  淡く緑色に煌めくソレは、やはり品質はあまりよくなさそうだ。    私は、カバンからじゃらり、と様々な属性結晶(クリスタル)を取り出す。    さて、どれがよろしいでしょうか。  そんなことを考えていると。  馬車からお嬢様が、そろりと出てきた。  音をたてないように扉を閉め、抜き足差し足で馬車のステップを降りている。   メイドはそばの建物で寝ているので音は届きにくいだろうし、おそらく馬に気を使っているのだろう。  厠かな?
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加