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魔術で消費した魔気が回復するには時間がかる。
だから次の朝には全快している程度の疲労で、授業を切り上げているのに。
これではその意味が無い。
「『術式図』ってどれ?」
あちこちに視線をやるミラに。
お嬢様は訓練を止め、座り込むと木の枝を半分に折った。
「先生は地面に書いておられたのですが。えっと、確かこう……」
その先端で地面に図を描いていく。
「……硬質化、強度強化、流順指定、畜魔力限界、概念補助……。これだけ?」
ミラは、術式図の要素をくみ取って言葉にした。
「え、ええ。先生の描いた図と同じはずです、簡単な術式なので図も簡単なのだとおっしゃっていましたわ?」
「ふうん……」
ミラの顔が一瞬あげられる。
その黄金色の双眸が、一瞬だけこちらを見たような気がした。
あいつ……気づきましたね?
私は少しヒヤリとする。
「――それにしても、この術式図の図形や配置にそんな意味が籠められているのですね」
「うん。セナ先生の優しさも籠ってる」
嫌味かぁ!?
あいつめ!
ワザワザ、セナ先生、とか言って!
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