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「……あっつ」
校舎を出た瞬間、むわんとした空気が一気に全身にまとわりつく。
夏が好きだっていう人間の気が知れない。
「お、若葉、お前今日もバイト?」
門へ向かって歩いていると、後ろからぽんっと肩を叩かれて聴き慣れた声がした。
声の主は、大西珠貴。クラスメイトの一人だ。
「ん」
「そっか。頑張るな〜。けどお前がカフェとかやっぱなんか……」
「なに。悪い?」
「いや別に悪いとか言ってねーべ。珍しいなぁって。若葉は面倒ごと嫌いなタイプじゃん。人の下で働くのとか向いてなさそうっていうか……」
『IT企業の社長的な?イメージそれ!』
なんて、ITの意味もわかっていなさそうなやつの口から放たれる。
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