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「そんなに緊張していては、持たないぞ?夜はまだ長いんだからな」
「ふりだけ…とかは無理なのか?」
もう心臓が弾けそうなんだ、と懇願するが否と返される。
「俺は、ことお前に関しては優しくありたい。だが今日この初夜だけは譲れない」
「ああぁ……」
麗楊は男色家ではないし、勿論婁阿もそうだろう。だが、今目の前の男は情欲の熱っぽい目で麗楊を見詰め愛してると囁いてくるのだ。
「麗楊」
「……ん」
優しく唇が触れた。そして何度か啄むように口付けが繰り返される。
不思議と嫌悪感は無い。それを分かってるのか婁阿は今度は額、目尻、頬、耳といった順番で唇を落としていく。
麗楊の顔はもう既に真っ赤だ。羞恥ともどかしさで今直ぐ顔を隠したくなる。
「麗楊…本当に可愛い…好きだ」
「ちょ…!」
「愛している。一目惚れなんだ。分かってくれ。これでも暴走しないよう抑えてるんだ」
「わ、分かった!僕の事を好きなのは分かってるから!いちいち囁くな!」
「恥ずかしがってるのも可愛い。どれだけ伝えようとも足りないな」
「くっそ…!」
愛情表現が激しい婁阿に遂には悪態をつくように。しかしそれももう終わり、というように婁阿は麗楊を寝台に押し倒した。
麗楊の視点が変わり天蓋が視界に入る。そして上には自分を見下ろす雄の目をした婁阿。
その綺麗な琥珀の瞳に求められていると感じ、麗楊の心臓が高鳴っていく。
「…麗楊、口を開けろ」
「……やだ」
「そうか。麗楊に合わせてゆっくり進めようかと思ったが、手加減は要らないと」
ぎらり、と妖しい笑みを浮かべる婁阿に麗楊はびくりと肩を揺らし言われた通りゆっくりと口を開ける。
すると婁阿の顔が近付いたかと思えば唇を押し当てられ、婁阿の舌が麗楊の口内に侵入してきた。
驚いて目を見開けば頭の後ろを固定されて離すことが出来ない。
「っ……ん、ふ……んん」
小さく麗楊の声が漏れる。それに満足とでもいうように婁阿の瞳が弧を描いた。必死にしがみついて来ようとしている姿がいじらしくて愛おしい。
舌を絡めるいやらしい水音が静まり返った部屋で目立って聞こえる。
「んっ……はぁ…はぁ…」
婁阿が唇を離すと、肩で息をしている麗楊。口からはどちらともいえない唾液が漏れている。
潤んだ瞳は婁阿をきつく睨み上げた。
「はは…本当に愛い。麗楊、鼻で息をしろ」
「…はぁ…無理っ…!…んんっ」
再び唇を重ねれば、今度は容易に麗楊の口が開き婁阿の舌を受け入れた。
麗楊はこんな貪るような口付けは初めてだというのに、気持ち良いとさえ感じている。
重ねる毎に頭は熱に侵され身体は火照り始める。
そして婁阿は一度上半身だけ起こすと、上の寝着を脱ぎ捨てた。衣服を纏っているとそこまで分からなかったが、鍛え抜かれた肉体を前に麗楊はごくりと喉を鳴らした。
すると婁阿は麗楊の寝着も丁寧に剥いでいく。上半身が露わになった麗楊の首筋から胸の突起をゆっくり味わうように舌を這わせる。
「そんな、とこ…舐めるな…っ…!」
「恥じらいながら言っても説得力ないぞ。いずれ、ここでも沢山感じれるようになろう麗楊」
ふざけるな!と言いたいが言葉が出て来ない。まず、そこで感じる事はないが視覚的に妖艶さが交じり反応してしまいそうになる。
「うぅ…るおぉ…るお…」
「そうだ。沢山俺の名前を呼べ」
「もう無理ぃ……」
「無理じゃない。お前はやればできる子だ」
やはり懇願しても跳ね返される。もう心臓が持たないと涙まで出てきてしまった。
下半身も熱を持って来た事を自覚した麗楊は身を捩る。しかし腰を掴まれており自由にはならなかった。
「なんだ、麗楊。しっかり感じてるじゃないか」
そう言って婁阿は反り立ち始めた麗楊のそれを布越しで下から上へなぞる。
「やっ…!その触り方はやめろっ…」
「ん?じゃあどんな触り方ならいいんだ?」
口角を上げ、麗楊に尋ねると「やだ」しか返ってこなかった。
触り方を変え今度は婁阿の掌で包むように掴みゆっくり上下に扱く。
「だめっ、だめだめ…!あっ…うぁ…」
頭を横に振る麗楊。しかし婁阿の手が止まる訳もなく、最終的に先端をぐりぐりと指先でなじれば布に染みが広がっていった。
「もう逝ってしまったのか?麗楊」
「…この、いじわる…!」
「可愛いな」
何度目の可愛いを言われ膨れっ面になる麗楊。満足げな口付けが落ちてくる。
すると婁阿は一気に麗楊の下衣を剥ぎ取った。唐突に外気へ下半身が晒され目を丸くする。
恥ずかしさで足を閉じようとするが、婁阿がそれを許さなかった。
「くそ、馬鹿力め…!無理、やだ、見るな!」
「いや…俺は全部見る。麗楊の夫だからな。…ん?これは…」
目に入ったのは麗楊の左の外太腿から膝下にかけてまるで龍の尾のような刺青が入っていた。
触るとそれは刺青などではなく、一枚一枚本物の鱗のようだった。透明に近いが光が反射して鱗の縁が翡翠色に輝いて見える。
「うわっ!そこ、さわんないで…!」
「何故だ?これは鱗?…凄い、滑らかだ」
婁阿はそこに顔落とし舌を這わせる。すると麗楊から直ぐに甘い声が漏れた。
「んんん…!お願い…そこっ…だめぇ…ふっ…!」
「なるほど。ここもちゃんと性感帯なんだな」
良い事を知ったと、とても良い笑顔で麗楊を見やる。悔しい表情を浮かべる麗楊だが、直ぐに別の快楽が襲ってきた。
「もっと口でも奉仕してやりたいがまた今度な。麗楊、もう一度逝っておけ」
「へ?やっ、ちょっと待って…早っあんん…!だめ…だっ……あ…はあっ…」
先ほどより麗楊の反り立ったそれを強く早く上下に動かせば、今度は婁阿の手の中に欲を吐き出した。
婁阿がひと舐めすると、呆れた顔をする麗楊。だが、その呆れた顔でさえ艶やかで一層婁阿を掻き立てる。
婁阿が麗楊の使われた事がない色の蕾に触れると、麗楊は身体を震わせた。
そして潤滑剤を出した婁阿はそれを手に垂らし蕾の中へと指を侵入させた。
唐突な異物感に麗楊は怖くなり婁阿の腕を握ると、優しい笑みで「大丈夫だ」と頭を撫でた。
「…ん……はぁ……あ……」
短い吐息が漏れる。中を指で解していく。ある程度時間が経てば指は二本に。そして三本に増えた。バラバラに動く指は、もう異物感などなく程よい快感を与えてくる。腹の奥が疼き、何かに触ってもらえるのを待ってるようなそんな感覚を覚えた。
すると、婁阿の指がある一点を擦る。そこに触れた途端、麗楊の全身に電気が走ったような快感が走った。
婁阿は口角を上げる。見つけた、と。
「やっ、なにそれ…!あっ、ああ…!んっ…んあっ…」
「麗楊。男にもね、これだけ気持ち良くなれる所があるんだ。ちゃんと覚えておくんだ」
「むりむりぃっ…!るお、やめて…!あっん…おかしく、っな…んん!」
麗楊は再び果てた。今度は自分の腹に白濁を浴びせる。綺麗な翡翠の髪が汗で顔や体に張り付き、その妖艶さを際立たせた。
そして小さな「婁阿…」と自分の名前を呼ぶ愛しい人を前に我慢していた欲は千切れる。
荒い呼吸をしながら自分の下衣を脱ぎ捨てると、麗楊の視線が婁阿の下半身に向けられてるのが分かる。
そして火照っている顔で青ざめてるのも分かった。
「…無理、むりむり…大きいって…入んないって…」
「麗楊のここは溶けるくらい解したから大丈夫だ。頼む。俺を麗楊の中に入れてくれ」
「っ……その顔はずるい…!」
麗楊は婁阿の首に手を回す。瞳をぎゅっと閉じてその瞬間に備えているようだ。
婁阿は自身を麗楊の蕾へあてがうとゆっくり侵入を進める。指よりも大きく熱いものに麗楊は身震いした。
想像してた痛みは無いが、腹が熱く苦しいのにまた涙が出てくる。
婁阿は麗楊の反応を見ながら慎重に進めた。
「あっ…やっぱ無理…怖い…」
「…っ…麗楊…今締め付けないでくれ…」
「む、むりぃ〜!そんな勝手…んっ…きかないっ…」
そして麗楊の後孔は婁阿のそれを根元まで飲み込んだ。馴染むまで動かず麗楊の顔が緩むのを待つ。
婁阿は唇を落とす。それに返すように麗楊は口を開け舌を絡めた。
「はあっ……ん…ん…」
蕩けている麗楊の表情に、婁阿のそれが脈打った。
「…麗楊、すまない…限界だ…」
「え…?あっ、やあっ…!まっ…あっああ…!」
腰を動かし始める婁阿。それに律動するように嬌声が溢れ出る。
何度も麗楊のいいところを擦られ早くも絶頂を迎えた。しかし、婁阿の動きが緩む事などなく立て続けに攻められる。
「やだやだ…婁阿…!あっんん…!とま…って…!お願い…」
「すまない…!無理だ…!麗楊が好きすぎて…もっと俺で感じて」
「ひっ…ぅ…んぅっ…あ…あっ…」
もう麗楊にあるのは心地よく腹にくる振動と快楽。そして婁阿から与えられる、野獣のような自分を求める欲望と甘い言葉。
美しい翡翠の瞳は潤んで婁阿だけを映す。麗楊から甘美な声だけ溢れ、婁阿は舌なめずりをした。
「麗楊…一番最初はお前の中に出したい…いいか?」
「な、なにっ……?んんっ…あっ…もう、何でも…いいって…!」
「ありがとう……っ…」
婁阿の短い声と共に、麗楊の腹の中に熱い何かが溢れる。それが何か今の麗楊が理解できるはずもなく、ただ気持ち良さに同時に達した。
お互い息遣いも大きく、麗楊はぐたりとするが直ぐに婁阿に腰を持ち上げられた。因みにまだ婁阿のそれは抜かれておらず、熱も保ったまま。
麗楊はぎょっとする。
「ま、待って…本当に!逝ったばっかだか…あっ!やっ、んっ…あぅっ…」
「俺がっ…我慢してた四年分は…そっとやちょっとじゃ終わらないからな…!」
そして貪るような口付けをされる。
それからはもう婁阿のされるがまま。また果てると、今度は体勢を変え、うつ伏せで腰を打ちつけられる。麗楊のそれもどれだけ出したのか分からないくらい、垂れ流してる状態である。
逝けども動きは緩まらず、更に興奮しているのか婁阿のそれはまた大きさを増した。
「ひっあ……!!ばか…なんで…!んんっ」
「麗楊。お前は俺のものだ…!俺以外にそんな顔をするのは許さないし、誰かと二人きりになるのも駄目だっ…」
「はう…あっあっあっ…ああっ、むりっ…こわれちゃ…!」
「可愛い…閉じ込めてしまいたいな。愛してる。麗楊…早く俺の所まで堕ちてこい…」
「んっ、んん…あっ…」
もう何度達したか分からない。腹は婁阿が吐き出した欲で一杯で、後孔の縁は赤く腫れ上がっている。
婁阿が抜かずにいたそれをようやく抜くと、こぼり…と白濁が麗楊の白い太腿を伝って垂れて来た。
それを見てまた婁阿のそれが熱を持つのを感じたが、ふと扉を見ると暗かった景色が若干明るくなってきている。そして、麗楊に視線を戻すと気絶したように寝入っていた。
麗楊の目尻は涙で赤く、唇も何度も口付けしたのもあって赤く腫れている。綺麗な白い肌に生えるは無意識に付けた赤い鬱血の印。
ーやり過ぎてしまったか…。
反省はするが後悔はしていない。
婁阿はお湯を持ち、麗楊の身体を綺麗に吹き寝具を整え終わった後、一緒に寝入る事とした。
愛しい麗楊の額に軽い口付けをして。
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