再度逃亡を決意する

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 婁阿が優しく麗楊の髪を洗ってくれる。  長い麗楊の髪を、櫛を通して梳いていく。その心地良さに麗楊はうとうとと眠気に誘われていた。   「いつ見ても綺麗な翡翠の髪だな」 「まあ他にこの色を持ってる人はいないだろうし」 「神秘的でとても美しい色だ」 「そういう婁阿だって、ここまで黒い髪は中々いないと思うけど」 「そうか?まあ、俺は異国の母の血がながれているからな。多分それも関係してるんだろう」 「え?皇后様ではないのか」 「俺の母は側室だ。俺が2歳の時に亡くなっているから記憶にはあまりないが、凛としていて女性ながらに一将軍のような強さを持っていたらしい」 「へえ。婁阿の母親っぽい」 「はは、ありがとう。皇后は側室の息子である俺を自分の子のように育ててくれたんだよ」    そう言われ昨日話した皇后を思い出す。確かに温厚で物腰の柔らかい雰囲気の女性だった。慎ましく、国の国母として非のない所作。 「ふうん。何だ。じゃあ思ったより泥臭く無いんだな」 「泥臭く無いとは?」 「婁阿って第二皇子だろ?後継者争いで僕が巻き込まれないか兄弟達が不安がって、この婚姻も凄い反対されたんだ」 「成る程。その不安を否定できず申し訳ないが全く無いとは言い切れない」  それはそうだ。麗楊だって少なからずそういった事は想像できたが、その前にはここを逃げてやろうと考えていたので余り深く考えてなかった。  だが、今の婁阿の表情に影が灯り、思ったよりも色々ありそうだと感じ取る麗楊。 「実は俺は帝の地位に然程興味が無い。この国を良くしてくれるなら誰でもいいんだ」 「えっ、そうなのか?てっきり僕は帝になりたいのかと」 「俺は御免だな。(まつりごと)など面倒なだけだ。俺は戦場に立っていた方が身に合っている。しかし、周りが放っておいてくれないんだよ。兄上より俺に帝になれってな」 「へえ…それは面倒だな」  麗楊も書類ごとより身体を動かして自由に動き回る事の方が性に合っているので婁阿の気持ちは大いに理解できた。 「だから兄上にも嫌われている」  困ったように笑いながらそう言う婁阿に麗楊はその翡翠の瞳でじっと見詰めた。  きっと婁阿は仲良くしたいと思うが、周りも兄もそれを許さないんだろうな、と少し悲しくなった。 「慶花稜の次期(みかど)の選定は武術も求められるんだ。しかし、兄上は幼い頃から身体が弱く剣を握る事すら出来なかった。兄上は頭がとても良い。だが武術となれば天で駄目。だから俺を憎まずにいられないんだろうな」 「…なんかもどかしいな」 「そうでもない。俺が帝に興味が無いのは国中が知ってる。無理して兄と仲良くしようとは思わないし、逆に変に関わって拗れるのはお断りだ。それに、麗楊と婚姻を結んだ事によってより意思表示になるだろ」 「そういえば昨日兄君は居なかったよな?」 「兄は今隣国に遠征へ行っている。多分次の月には帰ってくると思うが」  ただ二人の関係の話を聞いてしまっては余り会いたく無いものだ、と麗楊は思った。  それから麗楊の髪を洗い終えた婁阿は喚く麗楊の衣服を剥ぎ取り身体もしっかり隅々まで洗い尽くす。  そして再び横抱きに抱え部屋へと戻った。軽い寝間着に着替えた二人。婁阿は麗楊を寝台に座らせ麗楊の濡れた髪を拭き取っていく。 「…なあ、後で陸に会いたいんだけど」 「何故?」 「何故って…陸はたった一人の側仕えだ。それに小さい時から一緒だったんだ。会いたいと思ってもおかしくないだろ」 「……昨日も思ったが、麗楊とその側仕えは距離が近過ぎないか?」 「は?普通だって」 「実は好きだったなんて事はないのか」 「は、はあ!?陸は家族みたいなもんだぞ!馬鹿言うな!」  ー陸にまで嫉妬し出したらキリがないぞ!  拗ねた表情を見せる婁阿に、なんだか小さい子供を相手している気持ちになる。  すると婁阿が麗楊の背中を倒し、下の寝間着を捲ると麗楊の白い太腿が外気に触れる。しかも下着を着ていなかった為、麗楊の性器が丸見えだ。  驚いて顔を赤くし隠そうとしても婁阿が麗楊の足をしっかり掴んでいる為小さな抵抗にしかならず。  婁阿は麗楊の赤くなっている蕾にそっと触れた。 「なっ、何…!?」 「いや。ここ腫れてしまってるからな。軟膏を塗っておかないといけないだろ」  ここ、とは昨日散々婁阿の大きなそれを咥え込んでいた所。何度も貫かれ、赤く腫れてしまっているそこに冷たいのが塗られた。  薬の匂いがするので本当に軟膏が塗られていると分かるも、どうにも婁阿の指の動きがいやらしい。 「な、なあ…そんなに塗らなくていいんじゃないか…?」 「駄目だ。初めてだったんだから念入りに塗っておかないと」  蕾の縁をなぞると、今度は人差し指を中へと入れ内側を丁寧に塗りたくる。  すると麗楊から我慢する吐息が漏れる。 「もっ…いい!大丈夫!」 「本当に大丈夫か?ここもしっかり反応してるようだが」 「うっ…」  それは徐々に反応してきてる麗楊の性器。自然と初夜の行為も思い出し、恥ずかしさとその時に似ている感覚に麗楊のそれは正直に反応した。 「直ぐ治る!もう見るな触るな!」 「昨日擦り過ぎてしまったからな。手じゃなくて口でしようか」 「聞けよ!うぇ、なに…ええ!ちょ…」  婁阿は戸惑う事なく麗楊のそれを口に含んだ。口腔内でゆっくり上下に揺らし、先端を軽く吸うと麗楊から甘い吐息が漏れる。  舌で裏筋を舐め上げ亀頭を喰むと、びくりと麗楊の太腿が跳ねた。 「ん…!あ、ぅ…んん…はなして…!」  ゆっくりだったのが、少しずつ勢いを増していくと麗楊もそれに合わせて声が止まらなくなる。 「あっ…おねが……出るからっ…ふっう…!はなせって…!」  麗楊が婁阿の頭を反射的にがっしり掴む。すると身体を震わせながら達し、婁阿の口の中に吐き出してしまった。  すると驚いた事に、婁阿から飲み込む喉の音が聞こえた。麗楊が目を丸くして婁阿を見上げると、口の端から白い液が少し溢れている。それを見て麗楊は顔を真っ赤にする。 「嘘だろ…!?の、飲んだ……!?」 「流石に麗楊のでも美味しくないな」 「当たり前だろ…!馬鹿じゃないのか!?」  掴んでしまったのは自分だが、離そうと思えば離せたはずだ。それに飲まずとも吐き出せばいいものを、目の前の男は躊躇わず飲み込んだ。その事に驚きを隠せない。
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