宝はどこ

1/2

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 ケインとマイクは森の奥にある洞窟の前にいた。 「中は暗闇だから目を閉じるんだよ、マイク分かった」 「この明るい日の中から真っ暗な洞窟に入るからだろ。目を慣らすためだよね」 「じゃあ行くよ」 二人は目を閉じて洞窟に入った。10数えて目を開けた。 「うっすらと見えるだろマイク」 「本当だ見えるよ」 懐中電灯を手に持って奥へはいって行った。ひんやりとした空気は外の夏の暑さを忘れさせてくれる。 「電灯つけていい、おいらもう無理見えないよ」 「うん、そうだね僕も見づらくなってきた」 どのくらい歩いたのか手袋をした手で壁を触りながら歩いている。 「まだ先かな、おいら疲れた。お宝はもういいやケイン帰ろう」 「もう少し先まで行こうよ」 嫌がるマイクの手を引いてしばらく行くと目の前が開けた。 大きな空洞だ。ぐるりと周りを見回して見る。川が流れているのか大きな水面が見えた。近づいてみるとボコボコ水面に泡が浮き上がっている。水源らしい。 「喉が渇いた」 そういうと川の水に手を伸ばした。 「飲んじゃダメ、僕の飲んで」 ケインは水筒を渡した マイクは怪訝そうに聞いた。 「どうしてダメなの、見るからに綺麗そうだよ。おいら平気だよ」 「ママが言ってた。生水はお腹を壊すからって」 「そうなんだ、じゃもう帰ろう宝物も何もなかったしね」 元来た道を戻ろうとしたが出口が三つある。 ここに着いた時一本道だと思い込んでいた。 「マイクどの道だと思う」 「おいらに聞くの?引っ張られてきたおいらに・・・」 「ごめん、無理に引っ張ってきて」 ケインは目を閉じてここに来た道を思い出そうと記憶を辿った。 左手の岩のごつごつした感覚。もう一度触ればきっと思い出す。 「ここにいて、ここは明るいから大丈夫。僕は一つ一つ確かめてくる」 そう言って歩き出した。 「嫌だ、おいらを一人にしないで一緒に行こう」 手を繋いで歩き出した。 このごつごつ感間違いない。そう思って懐中電灯にスイッチを入れた。明かりが点かない。来るときはマイクのを使ったから自分のは十分大丈夫なはず。 「どうしたの、明かりが点かないの?自分のはまだ点くはず」 そう言って懐中電灯のスイッチを入れたが点かない。 「あれ?どうしたのかな」 声が震えて今にも泣きそうだ。 「ここに来ること誰かに話した?」 首を横に振るマイク。 「怒られるから黙っていようって約束したから」 「そうだよね、本当にごめん。でもきっと誰か気づいてくれる、見て僕の手袋片方脱げちゃったんだ。大きくてパパの黙って借りてきちゃったから。ここに来る時手を繋いだだろう、手袋してなかったのに気づいた?多分洞窟の手前で脱げたと思うんだよね」 「少しでも前に進もう、大丈夫絶対助かるよ」 マイクを励ますと同時に自分を奮い立たせるケイン。 自分が誘ったせいで悲しい結末が待ってるなんて・・・ 真っ暗闇に包まれた少年二人。 「アッ」 「どうしたの、びっくりしちゃったよ」 「ごめん、僕間違ってた。入る時出口を背にしてたんだ。帰る時は反対の壁になるのに気づかなかった。戻ろう」 「えー、戻るの?この道で大丈夫じゃないの」 「多分そんなに歩いてないと思うよ」 振り向くと微かに明かりが見える。 「本当だ、真っ暗で分からなかった」 「ここはどうしてこんなに明るいと思う」 「おいらに聞いても無理だよ」 「喉が渇いた」 「さっき飲んだよね」 「うん、全部飲んじゃった」 「やっぱり、飲むね」 そう言ってぶくぶく泡が吹いてる中へ手を入れた。ひんやりして気持ちがいい。 「あれ、ケイン来てみて、石が光ってるよお宝かな」 「本当だ、これが明るさの秘密か」 「この石を持って帰ろう」 バッグから袋を取り出し石を入れ始めた。 「おいらも、アッツ」 「手を見せて、赤くなってるやけどだ早く水の中へ」 「僕は手袋してたから、素手で触らないでって言えば良かった」 「大丈夫、水の中に手を入れてたから」 そう言って手を広げて見せた。 「早く戻ろう、マイク君が選んで右端はダメだった」 「わかった、真ん中だ」 「僕は後ろ向きに歩くから手を引いて歩いてね。そして、この石の入った袋丈夫だと思うんだ。ママが料理によく使ってたから、でも熱かったら捨ててね」 「わかった、おいら頑張るよ」 二人は洞窟の通り道を歩き始めた。 「この感じ間違いない帰れるよマイク当たりだ」 なかなか後ろ歩きは大変だがマイクが頼もしく思える。 「やった、石のお陰で明るいから怖くない」 石の入った袋が少しづつ解けてきた。ポトッポトッ音がするたび少しづつ暗くなってきた。何処からか声が聞こえてくる。 「返しなさい、戻しなさい戻ってくるのよー」 「声が聞こえなかったケイン?」 「聞こえた、この石の事かな、でも僕たちを呼ぶ声も聞こえなかった?」 「マイクー、ケインー」 「パパたちの声だ」 ケインはくるりと向きを変えマイクの手を引いて走った。石の光は消えて暗闇の中真っ直ぐに。何かが足を引っ張るマイクの手だいつのまに手を繋いでいたのに・・・ズルズルと元来た道に引きずり込まれる。 「ごめんなさい。許してくださいお願い」 「マイクは悪くない、僕が悪いんだ僕だけにして 僕がマイクの足を掴んでる、僕が手を離せばいいんだ・・・
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加