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ケインとマイクは森の奥にある洞窟の前にいた。
「中は暗闇だから目を閉じるんだよ、マイク分かった」
「この明るい日の中から真っ暗な洞窟に入るからだろ。目を慣らすためだよね」
「じゃあ行くよ」
二人は目を閉じて洞窟に入った。10数えて目を開けた。
「うっすらと見えるだろマイク」
「本当だ見えるよ」
懐中電灯を手に持って奥へはいって行った。ひんやりとした空気は外の夏の暑さを忘れさせてくれる。
「電灯つけていい、おいらもう無理見えないよ」
「うん、そうだね僕も見づらくなってきた」
どのくらい歩いたのか手袋をした手で壁を触りながら歩いている。
「まだ先かな、おいら疲れた。お宝はもういいやケイン帰ろう」
「もう少し先まで行こうよ」
嫌がるマイクの手を引いてしばらく行くと目の前が開けた。
大きな空洞だ。ぐるりと周りを見回して見る。川が流れているのか大きな水面が見えた。近づいてみるとボコボコ水面に泡が浮き上がっている。水源らしい。
「喉が渇いた」
そういうと川の水に手を伸ばした。
「飲んじゃダメ、僕の飲んで」
ケインは水筒を渡した
マイクは怪訝そうに聞いた。
「どうしてダメなの、見るからに綺麗そうだよ。おいら平気だよ」
「ママが言ってた。生水はお腹を壊すからって」
「そうなんだ、じゃもう帰ろう宝物も何もなかったしね」
元来た道を戻ろうとしたが出口が三つある。
ここに着いた時一本道だと思い込んでいた。
「マイクどの道だと思う」
「おいらに聞くの?引っ張られてきたおいらに・・・」
「ごめん、無理に引っ張ってきて」
ケインは目を閉じてここに来た道を思い出そうと記憶を辿った。
左手の岩のごつごつした感覚。もう一度触ればきっと思い出す。
「ここにいて、ここは明るいから大丈夫。僕は一つ一つ確かめてくる」
そう言って歩き出した。
「嫌だ、おいらを一人にしないで一緒に行こう」
手を繋いで歩き出した。
このごつごつ感間違いない。そう思って懐中電灯にスイッチを入れた。明かりが点かない。来るときはマイクのを使ったから自分のは十分大丈夫なはず。
「どうしたの、明かりが点かないの?自分のはまだ点くはず」
そう言って懐中電灯のスイッチを入れたが点かない。
「あれ?どうしたのかな」
声が震えて今にも泣きそうだ。
「ここに来ること誰かに話した?」
首を横に振るマイク。
「怒られるから黙っていようって約束したから」
「そうだよね、本当にごめん。でもきっと誰か気づいてくれる、見て僕の手袋片方脱げちゃったんだ。大きくてパパの黙って借りてきちゃったから。ここに来る時手を繋いだだろう、手袋してなかったのに気づいた?多分洞窟の手前で脱げたと思うんだよね」
「少しでも前に進もう、大丈夫絶対助かるよ」
マイクを励ますと同時に自分を奮い立たせるケイン。
自分が誘ったせいで悲しい結末が待ってるなんて・・・
真っ暗闇に包まれた少年二人。
「アッ」
「どうしたの、びっくりしちゃったよ」
「ごめん、僕間違ってた。入る時出口を背にしてたんだ。帰る時は反対の壁になるのに気づかなかった。戻ろう」
「えー、戻るの?この道で大丈夫じゃないの」
「多分そんなに歩いてないと思うよ」
振り向くと微かに明かりが見える。
「本当だ、真っ暗で分からなかった」
「ここはどうしてこんなに明るいと思う」
「おいらに聞いても無理だよ」
「喉が渇いた」
「さっき飲んだよね」
「うん、全部飲んじゃった」
「やっぱり、飲むね」
そう言ってぶくぶく泡が吹いてる中へ手を入れた。ひんやりして気持ちがいい。
「あれ、ケイン来てみて、石が光ってるよお宝かな」
「本当だ、これが明るさの秘密か」
「この石を持って帰ろう」
バッグから袋を取り出し石を入れ始めた。
「おいらも、アッツ」
「手を見せて、赤くなってるやけどだ早く水の中へ」
「僕は手袋してたから、素手で触らないでって言えば良かった」
「大丈夫、水の中に手を入れてたから」
そう言って手を広げて見せた。
「早く戻ろう、マイク君が選んで右端はダメだった」
「わかった、真ん中だ」
「僕は後ろ向きに歩くから手を引いて歩いてね。そして、この石の入った袋丈夫だと思うんだ。ママが料理によく使ってたから、でも熱かったら捨ててね」
「わかった、おいら頑張るよ」
二人は洞窟の通り道を歩き始めた。
「この感じ間違いない帰れるよマイク当たりだ」
なかなか後ろ歩きは大変だがマイクが頼もしく思える。
「やった、石のお陰で明るいから怖くない」
石の入った袋が少しづつ解けてきた。ポトッポトッ音がするたび少しづつ暗くなってきた。何処からか声が聞こえてくる。
「返しなさい、戻しなさい戻ってくるのよー」
「声が聞こえなかったケイン?」
「聞こえた、この石の事かな、でも僕たちを呼ぶ声も聞こえなかった?」
「マイクー、ケインー」
「パパたちの声だ」
ケインはくるりと向きを変えマイクの手を引いて走った。石の光は消えて暗闇の中真っ直ぐに。何かが足を引っ張るマイクの手だいつのまに手を繋いでいたのに・・・ズルズルと元来た道に引きずり込まれる。
「ごめんなさい。許してくださいお願い」
「マイクは悪くない、僕が悪いんだ僕だけにして
僕がマイクの足を掴んでる、僕が手を離せばいいんだ・・・
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