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 これはさすがに紹介された訳ではない。  きっかけは彼が参加した学生時代の友人の結婚式だ。  これがまた、たいそうな客人を迎えたものだった。  新郎新婦どちらも人脈が広い家同士だったので、友人知人の数が半端なかった。  そしてそこに居た花嫁側の友人の一人がシェリーだった。  そしてスティーブンスもまた、そこで現在の嫁さんに一目惚れしたのだという。 「いや本当にびっくりした」  当時彼は言ったものだった。 「僕の理想がそこに立っていたんだ」  理想ってあっただろうか? と俺は当時思ったものだった。  俺の理想は、言えば。  あまり多くはなかった。  俺は碌な家の出ではない。  その碌でもない家とは縁を切っている給費生上がりということを話しても平気で陽気で、萎えない程度の容姿があればまあ、という程度だった。  無論それでもハードルは高いのは知ってはいたが。  だが何となくその場で退屈そうにしていた女がシェリーだった。  何でも。 「せっかく美味しい料理が味わえると思ったのに」 と身も蓋もないことを嘆いていたのだ。
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