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その輝きはイリアの真っ直ぐな瞳を思い出させた。
あのままイリアにこの小瓶を飴と言って渡し、彼女が飴を口にすれば確実に殺せたというのに……。
気づけばカテリナは咄嗟にイリアからこの小瓶を取り返してしまった。
「……どうしてそれを止めてしまったのか」
自分の行動が理解できない。
カテリナの計画にはイリアの存在は邪魔でしかないのに。
苦悩するカテリナにシュモンがその気持ちを察してか、慰めるように体を擦り付けてきた。
カテリナはシュモンの元にしゃがむと、そのミルクティー色の毛を丁寧に撫でた。
(それにシュモンを引き取るなど……これは罪悪感からか……)
気持ちよさそうにカテリナに撫でられるシュモンの姿が思い出にある犬の姿と重なる。
カテリナがまだ年端も行かない子供だった時、雇い主に毎日のように殴られていた。
辛さから逃げるようにして、店の裏手で泣いていると慰めるように来てくれる一匹の犬がいた。
カテリナ自身も食べるものも碌に与えられなかったが、店主の機嫌が良い時にはパンを貰えることがあった。
そんな時には犬と分け合ってそれを食べた。
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