幕間:カテリナ視点

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伝染病を治すことのできる唯一の存在として、アリシアは既に貴族を従えることができるほどの権威を持っている。 そして、それを庇護し、聖水を生み出す手助けをしている教会は、今や国政への発言権も強くなってきている。 アリシアが言っていた通り、彼女が婚約してしまえばこの国の貴族はカテリナによって、事実上掌握されることになる。 「貴族を従え国を動かすのは我だ……」 あの時からずっと願っていた復讐という目的を果たすことができる。 カテリナはシュモンを撫でていた手にある痣を触りながらきつく目を閉じた。 不安要素であったイリアはもう死んだ。 だからあの無垢な目を思い出すこともない。 感傷的になる必要もない。 自分は揺るがない。 この国の富も権力も全てを手に入れる。 カテリナの目には再び野望と復讐の炎が揺らめいたのだった。
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