抱える孤独

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お父さんの家は幸せがいっぱい詰まっていた 「えっと…」 「結城華です」 「華さんすみません。」 「困った時はお互い様よ。隼人さんの子供なんだから」 お母さんとは違って若そうで強い女性だった 「雪さんはどうしたのですか。詳しく教えていただけないなら家に帰ってもらいます」 道理を通さないと気が済まないお父さんは健在だった 「彼氏に今朝振られて、新しい彼氏ができるまで私は家に帰れません」 「なんで」 「男性って子持ちの女の人なんて好まないから」 お父さんと華さんは例外かと思ったが口には出さなかった 「いつもそうなんですか?」 「いつもは友達の家に行ってるんだけど流石に毎回行くのも申し訳なくて」 お父さんは私の髪を撫でた 「偉いです。ちゃんと大人を頼れて偉いです」 子供扱いしないでよと私はお父さんの手をどかした 「華さん迷惑かけてすみません」 「お母さん大丈夫なの?」 「いつもの事なんでどうにかなると思います」 華さんはほっとした後に息子の部屋は二階の一番奥の部屋だからと言った そこに向かえという見えない圧を感じ 私は二階に行った 同い歳の男の子… 学校でも特に接することがなくて緊張している コンコン 「はーい」 「桐ヶ谷結です」 「なんの用ですか」 「なんか追い出されて」 華さんの息子はドアを開けて 入ればという顔をした 「お邪魔します」 「結城さんの娘さん」 「結です」 彼は少し黙ってから口を開いた 「じゃあ前は結城結だったの?」 「うん」 結城結たしかに変な名前だ 「変な名前だな」 「失礼じゃない?」 「今は?なんだっけ」 「桐ヶ谷結」 桐ヶ谷結はまだマシだ 「俺は結城海斗」 「知ってるさっき聞いたし」 「なんでウチち来たわけ?」 デリカシーない海斗くんは興味がないくせに私に話しかけてくれた 「お父さんがいるから」 「もう結城結の父さんじゃねーよ」 「そうだけど。てか結城結呼びやめてよ」 海人くんは控えめに笑っていた 「海人くんはいいね幸せな家族で」 さっきまで笑ってた顔が一変した 何がまずいことでも言ってしまっただろうか 「上辺だけだよ。お前の方こそ頼れる父さんがいるんだから幸せだろ」 私たちの中で微妙な空気が流れた 私からすればお父さんは今幸せそうだし 何不自由ないはずの海斗くんがなぜか寂しそうに見えた 「いつまでここにいるつもり?」 「一ヶ月後には出ていくよ」 「そーじゃなくて、この部屋にいつまでいるつもりなんだよ」 海斗くんは呆れた声で言った 「あっ、うん今出る今」 ドアを開けた時下から声が聞こえた 「結ちゃんを一ヶ月後このまま返す訳にはいかないんじゃない?」 「華、それは結が決めることです。それに僕はいつだって結を保護する気でいる。」 「そうね。何か起きた時には遅いものね。私もそれは賛成」 私は立ち止まってしまった。 後ろから海斗くんがドアを閉めた 「ごめん。」 「何が?」 「もう少しここにいれば」 私は海斗くんの横に座った 「聞いてもいい?」 「何を?」 「お父さんって今幸せでいれてる?」 海斗くんは息を呑んでから口を開いた 「ごめん。分からない」 「お父さんとお母さんが別れた原因がね。お母さんの病気だったの」 「病気?」 「うつ病みたいな、何もできなくて。それに対して私に当たったこともあった。それで怒らないお父さんがある日突然離婚届を出してきたの」 海斗くんはよくわかってない顔をしていた 色んな話を端折って話したから理解できてないのかな 「結城結はなんでお父さんの方に行かなかったんだ?」 「お母さんを裏切れなかった。たとえ私に暴力をしてもたった一人のお母さんだから。それに私がお母さんを守らなきゃって思っちゃったの。」 海斗くんの眉間にシワがよった 私のこと馬鹿だとでも思っているのだろうか 「わかる気がする。」 「え?」 「母さんを裏切れない感じ。俺もそうだなって」 海斗くんもそんなこと考えるんだな 「疑いたくねぇんだよ母さんは悪くなくて。悪いのは全部男たちだって」 私は海斗くんの肩に頭をのせた 「私たち似た者同士なのかもね」 「結城結と一緒なのは嫌だな」 「何よそれ!ひどー」 「ははw」 その後海斗くんから教えてもらい 2人でゲームをした 「ぬっ」 「ぬってなんだよぬって」 「ゲームやってると自然と声出るの気にしないで、ぐぉっ」 「気にしない方が無理だっつーの」 ただ時間だけがすぎていく それがたまらなく嬉しかった
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