女神の寵愛

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女神の寵愛

ガロンさんの去っていった方をなんとなく見つめていると、ユグに話しかけられた。 「ラファリア様は、とても綺麗な銀髪をされていますね」 「ありがとうございます、ユグ。……もとは、あなたと同じような金髪だったのですが、成長するうちに、色素が抜けてこの色になりました」  そういえば、マーガレット様も金髪だったなぁ、と思い出しながら、そう言うと、まぁ、とユグは微笑んだ。 「そうなのですね。よほど、女神の寵愛を受けておいでなのでしょう」 「女神の寵愛?」  さっき、ガロンさんは私の力は女神の祝福だと言っていたけれど、それと関係ある? 「あぁ、ラファリア様は、魔国のご出身ではございませんでしたか。……魔国では、この世界の創造神たる女神の伝承も数多く残っているんですよ」 「そうなのですね」  ユグによると、伝承では女神も銀髪だったらしく、銀髪の女の子は女神に寵愛されている、という考えが古くから根付いているらしい。 「それに、魔王陛下と並ばれたラファリア様は、まさしく英雄ラギスと女神のようでした」  英雄ラギス……女神と婚姻した唯一のひとの名前だ。  その女神とラギスの子供が、この世界にある六つの国の王の祖先になったと言われているのは、私でも知っていた。 「ということは、ガロンさんも英雄ラギスの姿に似ているんですか?」 「えぇ、伝承によると、黒髪に金の瞳だったそうです。ラファリア様は、銀髪に、桃色の瞳をされておられるから、女神とまったく同じですね。お二人が出会ったのは、まさに『運命』なのかも」  そう言って、ユグは、うっとりと手を握った。 「運命……ですか」  私にとっての運命は。 『君、すごいね』  そう言って微笑んでくれた、レガレス陛下。  ううん、違う。レガレス陛下は、マーガレット様を選んだんだから。  そういえば、二人は、まだ婚約までは至っていなかったのだっけ。良い日取りがなんとか、ってマーガレット様が言っていた気がする。 「ラファリア様?」  心配そうに名前を呼ばれて、はっとする。 「いえ、なんでもありません」  首を振り、マーガレット様とレガレス陛下のことを追い出す。 「ところで、お風呂に入りたいのですが……」  昨日はお酒を飲んで、そのまま寝ちゃっていたから、さっぱりしたかった。 「かしこまりました! すぐにご準備いたしますね!!」  ユグは、さっと浴室に消えていった。  そう、この部屋には浴室もついているらしい。  なんて、豪華なのかしら。  でも、まずは。  こんな待遇に見合う私になれるように、頑張らなくっちゃ。  
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