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「それで言うならクロコ……」  ギリギリのところで言いかけた口を閉じた。クロココールとは言いたくなかった。 「いいの、いいの。クロコロールの方が響きがいいでしょ。それに好きじゃなかった言葉を好きになれたし。最高だよ」 「なら、いっか!」  僕は今日一番の声を出して笑った。黒宮さんの笑いを誘うように、黒宮さんの言っている事が本当になるように。 「じゃあ私、行くね。これ、ありがとう」  二人で笑い合ったあと、黒宮さんは開けていないペットボトルを振って、お好み焼き屋に向かった。その背中がお店に消えるのを見届けた僕は、自転車を引いて表通りへと戻った。
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