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ニートな正義の味方
「どうやって暮らしてるのよ?」
「はァ、実家暮らしなので優雅な独身生活をエンジョイしてます」
「え、えェ、実家暮らしなの。正義の味方なのに?」
菜々緒は呆れたようだ。
「ハイ、だいたい最近の正義の味方は実家暮らしですねえェ」
「どんな正義の味方ですか。最近のって。恥ずかしくないんですか」
「いやァ、実家なら食うことも寝ることも困らないですから。冷蔵庫を開ければ、好きなお菓子もありますし。ママが毎日、お菓子を買っておいてくれるので、お小遣いが少なくても何ひとつ不自由してませんねえェ」
「不自由してませんって。それって、完全にニートじゃん!」
「いえ、ニートじゃありませんよ」
ボクは自信を持って否定した。
「いやいや、ニートでしょ。何を開き直ってるのよ」
「いえ、ボクはネオニートですから」
「ぬうゥッ、なによ。ネオニートって。どっちにしろニートでしょ。まず婚活するために、どこかへ就職しなさい。それからよ。まずバイトでも良いから働いて収入を得なさい!」
「ああァそれなら大丈夫ですよ。ちゃんとママからお小遣いも貰ってますから!」
「どこが大丈夫なのよ。その歳で、まだお小遣いを貰っているの。お母さんから?」
「ええェ、毎月、八千円ですね。今、月の小遣いを一万円にするよう交渉中です。それでママに勧められて、こちらの結婚相談所へ参った次第で!」
「なにを交渉してるのよ。その歳で、お母さんからお小遣いを貰って正義の味方をしてるの?」
「ええェ、正義の味方は基本的にボランティアですからね。怪人との戦闘でケガをしても労災も降りないし、治療代も入院費も全部、自腹ですから。ほぼほぼ毎月、赤字ですね」
「ううゥン、それはそれで、ア○ーレ法律相談所にでも訊いてご覧なさい」
菜々緒様からアドバイスを戴いた。
「はァそうですねェ」
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