正義の味方、婚活することに

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正義の味方、婚活することに

 ここは都心から西武新宿線で一時間あまりの田無市(タムし)だ。  東京都とは名ばかりで優雅な田園風景が並んでいた。  ボクは主に田無市(タムし)駅から半径、三キロ以内に出現する悪の秘密結社の怪人を退治していた。  ママチャリで移動可能な距離だ。    なにしろ都心に凶悪怪人が出現した場合、西武新宿線の特別快速に乗って一時間あまり掛かってしまう。  ようやく現場に到着した頃には、怪人は別の正義の味方に退治されていた。  よくあることだ。  そういう場合は、秋葉原へ行って大好きな正義の味方のグッズを買い(あさ)るしかない。  予想外に大変な出費だ。  あっという間に、ひと月のお小遣いが消えてなくなる。  なので実家から半径三キロ以外の遠距離は救助しないことに決めた。  ママチャリで移動可能な距離だ。  当然ながら交通費は正義の味方の自腹だ。  ママから貰う月の小遣いの八千円でやり繰りしなくてはならないので、いつも月末は火の車だ。  おやつはうまい棒で、飲み物は冷蔵庫に入った冷たい麦茶で我慢するしかない。    ただでさえ少ない小遣いの中、交通費で往復、千円以上かかるのは痛手だ。  なので都心への出張はできるだけ控えたい。    そしてボクは諸物価値上げを受け、お小遣いを一万円に値上げすることをママに提案した。  しかし逆にママから勧められ、ボクは結婚相談所『ハッピーパラダイス』へ入会することになった。  そこでボクは運命の人に会うことになった。  婚活アドバイザーの菜々緒様だ。
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