正義の味方の収入は

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正義の味方の収入は

「いやいやァ、『ああァそうなの』って、ちょっと考えてみてください。今年で十五年周年ですよ。悪の怪人から地球の平和を守って。スゴくないですかァ。スゴいでしょ。菜々緒様ァ?」  ボクは必死にアピールを試みた。  幼稚園の頃から十五年も地球の平和のために闘っているのだ。  出来れば、もう少し(たた)えてほしい。   「いやいや、菜々緒じゃないし。そういうの女子はまったく興味ないから」  しかし菜々緒様は眉をひそめ拒否した。 「えェ?」 「そういう無駄な男子の武勇伝、女子は一番引くから。やめて貰えますか!」 「えェ、そうなんですか?」  無駄な武勇伝って。ボクの栄光の歴史なのに。 「過去の武勇伝とか、学生時代の栄光をひけらかす男子って超最悪なのよ。チ○コに皮かぶってるヤツくらいサイテーなの」  菜々緒様は言いたい放題だ。 「そ、そうなんですか」  さんざんな言われように意気消沈だ。  まだまだふんだんに武勇伝があるのに。  まことに残念なことだ。 「ッで、失礼ですが、その正義の味方での収入は」 「はァ、収入は、ほぼほぼゼロですね」 「えェ?」菜々緒様は、ボクの応えにあ然とした。 「ほらァ、正義の味方って、ほぼほぼボランティア活動じゃないですか。なので収入は、ゼロなんですが、なにか問題でも?」 「お引き取りください」  あっさり美人アドバイザーの菜々緒様はサジを投げた。 「え、え、えェ、えェーーーーッ?」  恐るべき美人婚活アドバイザー。  無敵の正義の味方も一蹴(いっしゅう)だ。  チャンチャン。  つづく
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