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国宝級イケメン
「いやいや、でも」
それでもボクは食い下がった。
「だいたい何なの。美剣アスカさんのこのプロフィールの写真は」
菜々緒様はプロフィールの顔写真をトントンと指差した。
「ああァ、それですか。カッコ良いでしょ。モテモテです」
自慢の顔写真だ。
「いやいや、モテモテって。これ俳優の吉沢亮君の写真よね」
「フフゥン、正義の味方は、だいたい俳優の吉沢亮君的な顔なんですよ」
「なにその吉沢亮君的な顔って?」
「ほらァ国宝級イケメンじゃないと正義の味方は名乗れないじゃないですか。ですから吉沢亮君の顔写真を拝借したんです」
「いやいや、拝借するな。まずは自分の顔写真を貼ってください」
「はァ、でもママには吉沢亮君よりもイケメンだともっぱらの評判です」
「なにを自分のお母さんの評判をここで発表してんですか」
「フフゥン、ッで、菜々緒様。ボクたちの結婚はいつ頃にしますか」
ボクは両手で優しく菜々緒様の手を握りしめた。もう二度とこの手を離したくない。
「いやいや、私は菜々緒じゃないから」
「いえ、ボクは細かいことは気にしません」
「私が気にするのよ。だいたいアスカさんは正義の味方での収入はゼロなんでしょ」
「いえ、ゼロではありませんねえェ」
「え、収入があるの?」
「いえ、交通費やなんやらかんやらで、だいたい毎月、二、三万は自腹を切りますから」
「自腹って、赤字ってこと?」
「ええェ、早い話しがそういうことになりますね」
「遅く話してもそういうことでしょ。じゃァどうやって暮らしてるのよ」
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