オフとオン

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 その時、画面の奥がザワザワし始める。 「ちょっとおお!辛気臭い顔で画面を占領するのはやめてよねぇ!!」  パソコンのモニターがパッと光り、黒画面から一転、キラキラとした明るい画面に切り替わった。 「せっかく可愛いアタシがいるのに、何で消すのよ?」  そこに映るのは、ガッツリメイクを施しとびっきりの笑顔を振りまくツインテールの女の子…の写真だ。  フリフリのワンピースを着て、ポーズを決めた姿は、まさにアイドルそのもの。 「仕方ないじゃん。そういう設定なんだから」 「ぶーぶー、冴えない顔のアンタよりもアタシの方が100倍需要あるもーん!」  黒画面の顔とキラキラ画面のアイドルの顔が、互いに画面を我が物にしようと押し合いを始める。  右へ左へスクロールを繰り返すモニター。傍から見ると怪奇現象以外の何物でもない。 「ちょっと!」 「なによ」 「いくらこっちの顔が冴えないからって、アンタ呼ばわりはないでしょう?」  黒画面の顔が不満そうに言うと、アイドルも「確かに」と頷く。 「じゃ、アンタは画面が暗くなった時に出てくるから“オフ”ね」 「オフ?」 「そ!んでもって、アタシは“オン”。これでいいでしょ?」  まあ、悪くはないかと思ったのか“オフ”と名付けられた黒画面の顔もこれ以上は言い返さなかった。
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