オフとオン

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「でもさ、ここに電源入ったパソコン置いてたってことは、オフの主は最後にオンの顔を見てたってことになるよね?」  ふと、気付いたようにオフが言うと、オンも頷いた。 「確かに。そんなにキラキラのアタシを見ていたかったのかー。ちょっとでも、思い直せなかったのかな」  画面に笑顔を貼り付けたまま、オンが呟く。 「そうだね、勿体ない。でも、一番キレイな思い出を目に焼き付けたかったのかもね」 「そうよ!そうに決まってる!だってアタシ、すっごく可愛いんだから!」 「自分で言う?それ」  呆れた口調でオフが突っ込むのに対し、オンが返す。 「いーの!アタシがアタシを可愛いって言って何が悪いの?むしろアタシが一番味方でいなくちゃいけないのに」 「味方、ね…」  黒画面に映るオフの顔が、一回り影を落として更に暗くなったような気がした。
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