ファッションとしてのロックTシャツはアリか

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「私はいいと思ったらなんでも着るなあ。特に思想信条とは関係なくて。……といったらりくは怒るかな?」  風花のフリに俺は苦笑いする。 「別に怒らないよ。あのときは俺も尖っていたから」  俺の釈明に心愛が「ほーっ?」とつぶやく。 「まぁ、メタルは宗教だから、ルールみたいのがある。いったん染まったら疑問は持たない。俺がジーンズにつけてる3連のチェーンもそう」  ジャラジャラつけているのは、心愛みたいに信念があるわけではない。これはメタルへの忠誠心なのだ。 「黒いバンTは戦闘服かな。ライヴも『参戦』というくらいだし」  といっても全てのバンTが黒いわけではない。Carcassはライヴで赤いTシャツを販売したことがある。 「あのときは赤と青があったな」 「黄色は?」  風花がふざけて聞くと心愛も笑う。 「黄色はなかったんだよなあ。別ライヴで黄色と青を販売したとき、赤がなかった」  やはり3人揃ったら笑われるからだろうか? 「あんなにこだわってたのに、なぜロックTをファッションとしてアリだと考えたの?」  風花も心愛も興味深々だ。
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