6人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「私はいいと思ったらなんでも着るなあ。特に思想信条とは関係なくて。……といったらりくは怒るかな?」
風花のフリに俺は苦笑いする。
「別に怒らないよ。あのときは俺も尖っていたから」
俺の釈明に心愛が「ほーっ?」とつぶやく。
「まぁ、メタルは宗教だから、ルールみたいのがある。いったん染まったら疑問は持たない。俺がジーンズにつけてる3連のチェーンもそう」
ジャラジャラつけているのは、心愛みたいに信念があるわけではない。これはメタルへの忠誠心なのだ。
「黒いバンTは戦闘服かな。ライヴも『参戦』というくらいだし」
といっても全てのバンTが黒いわけではない。Carcassはライヴで赤いTシャツを販売したことがある。
「あのときは赤と青があったな」
「黄色は?」
風花がふざけて聞くと心愛も笑う。
「黄色はなかったんだよなあ。別ライヴで黄色と青を販売したとき、赤がなかった」
やはり3人揃ったら笑われるからだろうか?
「あんなにこだわってたのに、なぜロックTをファッションとしてアリだと考えたの?」
風花も心愛も興味深々だ。
最初のコメントを投稿しよう!