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結論から言うと、今の俺はファッションとしてのロックTシャツはアリだと思っている。
「この数年間に何があったの?」
風花が驚くのも無理はない。俺たちが出会ったとき、俺は風花が意味も知らずに着てたバンTに怒ったのだから。
「アリと考えるようになったのは……」
「まぁ、まずは私たちのカラスファッションについて語りましょう」
心愛が楽しそうに言う。全員黒い服を着ているから、カラスと表現したようだ。
「心愛さんにとってファッションとは?」
オシャレ大好き女子の風花が聞く。
「自己表現ですね」
心愛は即答した。心愛のファッションは常に黒ベースで、チェーンや安全ピン、フェイクファスナーをつけている。
「黒は何にも染まらないから強い。さらにアクセサリーで防御しています」
「なるほど。でも攻撃にも使えそう。安全ピンなんて、痴漢に刺していいかどうかなんて議論あったよね?」
風花の受け答えに、心愛が笑う。
「確かにそうですね。私も医療保護入院になったとき、危険だからと服から安全ピン剥がされましたもん」
状況を想像すると笑ってしまう。職員は真面目に、心愛の服からひとつひとつアクセサリーを外していったのだろう。
「風花さんにとってのファッションの意味はなんですか?」
次は心愛が風花に聞く。
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