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夢と新しい仕事*
――あれ、眠っていたはずなのにここはどこだろう? 見知らぬ部屋の椅子に腰掛けていた。
「ルシアン?」
「え?」
エミール様の声だ。振り返るとガウン姿のエミール様が僕の方に近づいてきていた。ガウン姿? よく見ると僕もガウンを身に纏っている。
「ベッドで待っているかと思ったのに」
「ベッド?」
「おいで」
手を引かれて理由がわかならないまま立ち上がるとヒョイッと抱き上げられた。
「軽いな、ルシアンは」
「え? え?」
混乱していると物凄く大きなベッドが現れた。ベッド……ガウン……?そっと降ろされて、彼を見上げると僕の上に覆いかぶさってきた。
「エミール様?」
「怖がらなくてもいい。なるべく優しくするから」
「えっ……ちょっ……んんっ」
僕の戸惑いなど完全に無視されて唇を塞がれた。何度も何度も口腔内を犯されるようなキスをされて、いつのまにか身ぐるみを剥がされていた。展開が早すぎて目を白黒させるしかない。そこで、はっとした。
「待って……見ないで」
「どうして? とてもきれいだ」
「だって……あれ? ない……」
身体中についている傷跡が消えていた。あれ、どうして?
「もういいか?」
そう言った彼は身体中に口付けを落として、僕の隆起したものを扱き始めた。
「あっ、そんなこと……ああっ……」
足を閉じようとしたけれど、許されることはなくて秘部に指を差し入れられた。
「蜜が溢れ始めてる」
「やぁっ、やだぁ……」
彼にされるがままで、喘ぎ声を漏らすことしかできない。
「ルシアン……そろそろ……」
そう言ってガウンを脱ぎ捨てた彼の裸体が露わになった。ガッシリとした体躯にそそり勃つもの……
「待って……そんなの入らない」
「大丈夫。ルシアン、力を抜いて……」
「無理無理無理、無理です! エミール様!!」
――「エミール様!!」
そう叫びながら飛び起きた。夢……?そんな……僕はなんという夢を見てしまったのだ。エミール様と……エミール様と……。
「ごめんなさい……エミール様……」
夢の中のエミール様を思い出しながら下履きをずらし、勃ち上がっている自身のものに触れた。上下に扱きながら、片手をお尻に這わせて、指を中に差し入れた。
「んんっ……はぁっあっ……」
手を止めることができない。前からは我慢汁が溢れ出し、後ろも愛液でドロドロになっている。
「エミール様……エミール様……」
彼の名前を呼びグチュグチュと水音を立てながら夢中で行為に耽った。実際の彼はどんな風に触るんだろう? 感じている時、どんな顔をするんだろう?
抱きしめられた時、とても逞しいと感じた。きっと夢で見たような体躯をしているのだろう。
「あっあっ……エミール様ぁ……」
近くにあった紙を押しあてて、一気に精を放った。僕は彼とこんな関係になることを望んでいるのだろうか?でも、僕は……。
「こんな体、見せられないよな……」
こんな傷だらけの体……。でも、義母に罪はない。父と母が壊してしまったのだから。その報いを僕が受けるのは仕方がないことなのだ。
「はぁ……。喉が渇いた」
外はまだ少し暗い。もう少しだけ寝ようか。でもまた家のことを思い出したから夢に出てくるかもしれない。そう思うと眠る気になれなくて、もう一度紙できれいに拭ったあとベッドから抜け出してキッチンに向かった。
「これ、本当にきれいだな」
ネックレスを翳してみる。ついている宝石は彼の瞳と同じでとてもきれいだ。エミール様はお返しはいらないと言っていたけれど、何かプレゼントしたい。うーん、日雇いじゃなくて継続でできる仕事を探そうか。近くで見つけることができればいいんだけど。今日は、仕事探しに行こうかな。そうと決まれば……いや、まだ早いか。薬の調合でもしようかな。
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