初めての夜*

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「ルシアン?」 「何ですか?」 「挿れてもいいだろうか?」  律儀に聞いてくるフェリクス様が何だか可愛い。 「はい……フェリクス様……来て?」 「あぁ、もう……」  足を広げられて彼の先端が僕の穴に押し当てられた。そのまま体重をかけるとゆっくりと彼が押し入ってきた。 「あっ……うぅん……」 「痛くないか?」 「全然……大丈夫ですよ?」  圧迫感はあるけれど、痛みは全然ない。寧ろもっと中へ入ってきて欲しいと思ってしまう。 「本当に?」 「本当です……もっと僕の中に入ってきて。フェリクス様でいっぱいにしてください」 「だから……俺を殺そうとしないでくれ」 「どういう?」 「何度も心臓を撃ち抜いてくる」 「そう……ですか?」 「全部入った」 「よかったです。入らなかったらどうしようかと思っていました」 「そうなのか?」 「だってすごく大きかったから」 「大きいのか?」 「と思います。え……あの……さらに大きくなったような」 「すまない」 「いえ……動きますか?」 「動いても平気か?」 「だってつらいでしょう? フェリクス様にも気持ちよくなってほしいです」 「もう十分気持ちいい。でも、大丈夫と言うなら動く」  頷くとゆっくりと腰を動かし始めた。彼のものが僕の中を擦ってなんとも言えない快感が広がる。少し僕の中から出ていったかと思うと浅いところを擦り始めた。 「あっ……そこ……ダメ」 「ルシアンの好きなところはもう把握できた」 「ヤダ……ちが……あぁん……」 「ルシアンはわかりやすいからな。いいところに当たるとダメとかヤダと言う」 「そんな事ない」 「そうか?」 「あっあっ……そこばっかりダメぇ……」 「ほら」 「うぅー」  涙目で見つめると優しい口づけが降ってきた。 「すまない、可愛くていじめたくなってしまう」 「もっといっぱい愛してくれたら許します」 「仰せのままに」  優しく笑う彼が愛おしくて、ずっとこのまま1つになっていたいと思ってしまう。 「愛しています、フェリクス様」 「俺も愛してる」  こんなにも幸せでいいのだろうか。何度も愛を囁かれながら突き動かされて、声を上げながら彼を求めた。自分の中にこんなにも激しく熱い気持ちがあったなんて知らなかった。 「ルシアン」  切なげに名前を呼んだあと、僕の最奥に彼が精を放った。優しい口づけを交わして、彼を抱きしめた。ゴロンと横になった彼につられて、僕も横向きになった。汗で乱れた髪もしっとりとした肌の感触も全部初めてで、こんなにも色気が増すんだと改めて感じた。 「つらくない?」 「全然。気持ちよくなれましたか?」 「うん、とても。幸せ過ぎた」 「僕も幸せです。こんなにもフェリクス様のこと求めてしまうとは思いませんでした」 「もっと求めてくれていいんだが?」 「え……待って、嘘でしょ!?」 「いいか?」 「ダメ……」 「え……」 「冗談です。いいに決まってるでしょう?」  彼の頬を両手で挟んで、そっと唇を近づけた。 「もっともっとあなたが欲しいです。僕って意外と肉食なんですかね?」 「最高だよ、ルシアン」  結局外が少し明るくなり始めるまで愛し合って、そのまま目を閉じた。
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