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噛みつくように激しく唇を貪られて、感度は増していく。フェリクス様が欲しくて欲しくて溜まらない。
「今日はもうすぐに入りそうだ」
お尻に手を触れたフェリクス様にそう言われて「もう挿れて」と強請った。奥まで激しくたくさん突いてほしい。足を広げて彼が挿れてくれるのを待った。嬉しそうに笑う彼を見て僕も嬉しくなる。
「あっあぁっ」
ぐっと一気に貫かれて声を上げた。それからゆっくりと抜き差しされて、好きなところを擦り始めた。
「あっあっ、だめぇ。イクっ……」
「そういうところは変わらないか」
「あっん、フェリクス様ぁ、すきぃッ」
中が痙攣して体が跳ねた。彼の動きが止まることはなく容赦なく責め立てられる。
「あっ、まって……」
「めちゃくちゃにしてほしいと言ったのはルシアンだろう?」
「そうだけどぉ……はぁーッ…んんん…っ!…っ!あぅ…ッ」
「望み通りにしているだけだ」
「あぅっ! そんな……奥……やぁっ、こわれちゃ……」
「中はもっともっとと強請ってきているがな? 素直になっていいんだぞ?」
蕩けるような口づけをされて唇が離れた。
「もっと……」
「ん?」
「奥まできて?」
パンパンと音を立てながら激しく穿つ彼の動きに必死についていく。
「すきぃ……。フェリクスさま、だいすき」
「そんなに可愛い事を言うな」
「ふぁ、あ゛あッ――」
さらに動きが加速して、ただもたらされる快感に身を委ねることしかできない。
「ルシアン、愛してる」
「僕もッ……」
グッと奥を突かれたあとに、動きが緩やかになった。いつもなら休憩を挟みたくなるのに全然熱が引かない。
「どうした?」
いつもと違う僕が気になったのか優しく声をかけてくれた。
「あの……」
「足りない?」
頷くと「ルシアンから求めてくれた」と感激された。
「いつも求めてるよ?」
「俺に応じてくれているだけだろう?」
「僕も求めているから応じられるんだよ」
「そうなのか?」
「愛してるもん」
繋がったままの彼のものが中で力を帯びたのを感じた。
「体勢変えたほうがいい?」
「このままでいい。ルシアンの顔を見ていたい」
「そう?」
キスをしながらゆっくりと動き出す彼の背中に手を回した。すると、快感はすぐにやってきて、あっという間に飲み込まれてしまった。切なげに僕を見つめる表情は幾度となく見ているのに見飽きることがない。その内に全く余裕はなくなって、彼にしがみつきながら矯声を上げ続けた。何度も何度も彼は僕の中で果てて、限界を迎えた僕は意識を手放した。
「――んんっ……」
目が覚めて、腰と股関節がおかしいと気付く。力が入らない。目の前には裸で眠るフェリクス様がいるから、また夜通しやってしまったのだろう。記憶が曖昧であまり思い出せないけれど。動く事ができないから、フェリクス様の寝顔を見つめることにした。眠っていても驚くほどに美しく、何度も見ても惚れ惚れしてしまう。
「ん……」
薄っすらと目を開けるフェリクス様の瞳が僕を捉えた。
「おはようございます。フェリクス様」
「おはよう、ルシアン。体は平気か?」
「おかしいです。力が入りません」
「昨日は少し激しくしてしまったから」
「そうなんですか? あまり覚えていなくて」
「覚えていないのか?」
「うーん?」
「あんなにも乱れて可愛かったのに?」
「はい?」
「何だ、覚えていないのか」
「僕、何をしたんですか!?」
「別に何も。まぁ、いつでも見られるからいいか」
「怖い、何なんですか!?」
「気にすることはない」
意味ありげに微笑まれて、この話はおしまいだと言わんばかりに唇を塞がれた。
「それにしても」
「なんですか?」
「口調が元に戻っている」
「口調?」
「敬語だよ」
「ずっとこれですけど?」
「敬語じゃなくていい。屋敷の者達とは普通に話しているだろう?」
「やめてほしいと言われましたからね」
「俺もやめてほしい。名前も呼び捨てでいいんだが」
「急には無理なので、少しずつ。呼び捨ては無理です」
「分かった。特に俺に抱かれてる時はやめてほしい」
「分かりました」
満足そうに笑ったあと「食事は部屋に持ってこさせよう」と言って頭を撫でられた。服を着たフェリクス様が部屋を出ていった。
昨日、僕はきっといつもと違っていて、それがフェリクス様のお気に召したらしい。よくわからないけど、普通に話すように気をつけなきゃ。うーん、腰が痛い……。回復薬を飲まないと今日は出かけられそうにない。ぐったりと横たわりながらそんな事を考えていた。
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