海へ*

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海へ*

 楽しい旅行も残すところあと1日となった。宿で朝食を取り、海に入ってみようということになって海辺を目指した。しかし、絶対に人がいないところでというフェリクス様のこだわりがでてきてなかなか見つからない。 「少しくらい人がいてもいいんじゃないですか?」 「ルシアンを見られるなどあってはならない」 「誰も見ませんよ、僕のことなんて。見るとしたらフェリクス様の方じゃないですか?」 「ダメだ」 「もうー」  なんとか誰もいないビーチを見つけて下履き1枚になり、恐る恐る海水に足をつけた。 「僕泳いだ事ないからちょっと怖いです」 「俺がいるから大丈夫だよ」 「あの……やらしい目で見ないでくれます?」 「仕方ないだろう。そんな艶めかしい肌と薄桃色の乳首を見せつけられたら」 「見せつけてません。服着ましょうか?」 「それはダメだ。よかった、誰もいなくて」 「そうですね。うわっ、冷たくて気持ちいい!」 「ルシアンを見た者はもれなく反応してしまう」 「そんなわけないでしょう。フェリクス様だけですよ。ねぇ、手持ってくださいよ。怖い」 「そんな事ない。足元気をつけろよ?」 「そんな事あります。足がつくところまでしかダメですよ? これ以上遠くにはいかないから」 「あぁ、本当に可愛い」 「ちょっと、足つかない!!」 「俺が手を持ってるから大丈夫だ」 「沈む! 沈んじゃうよ! しがみついていい?」  返事を聞く前にフェリクス様にしがみついた。足がついていないというのはこんなにも心許ないのか。 「ヤバい」 「何!?」 「勃った」 「たっ……!?」  今!?いや、ちょっと気になっていたけど。 「どうなってるんですか!?」 「だって……」 「昨日散々したのに、また? どうなってるの!?」 「俺にも分からない」 「とりあえず浜辺に……」 「そうだな」  フェリクス様が足のつくところまで泳いでくれて、足がついたところで離れた。砂浜に辿りつき、服を回収した。海水で体がベタベタになってしまった。何も考えずに海へ入っちゃったけど、これからどうするんだろう。フェリクス様のアレも……。 「服は持ったか?」 「持ちました」 「よし、じゃあこっちへ」  ん?と思いながらフェリクス様に近づくとぎゅっと抱き寄せられて、気づくとシャワールームにいた。 「体を洗い流したほうがいいかと思って」 「ここでするつもりでしょ!?」  にやりと笑うフェリクス様。下を見てすごいことになってるもんなと諦めの境地に入る。でも、お尻が壊れちゃうんじゃないだろうか。 「フェリクス様」 「なんだ?」 「あの……ここのところね、たくさんしてるじゃないですか?」 「そうだな」  ものすごく嬉しそうに笑うフェリクス様に罪悪感が募る。 「それで、お尻が壊れちゃうんじゃないかと危機感を抱いているんです」 「そうか……」 「フェリクス様のものって大きいし」 「すまない。ルシアンの負担になっていたのだな」 「いや、あの、いいんですよ? ……気持ちいいし」 「そんなことを言わせるまで気づかないでいたとは……」 「いや、ほんと、今日だけ。今だけ休息時間が欲しいと思っただけで」 「分かった。挿れることはしない」 「ごめんなさい」 「いや、俺こそいつもすまない」 「これ、脱いだ方がいいんじゃ? 苦しそう」 「そうだな」  二人して下履きを脱いで、シャワーを浴びずに彼のものを口に含んだ。塩気があって不思議だ。 「ルシアン、そんな事しなくても手でやるから」  咥えたまま首を振って、上下に口を動かした。上手とは言えないと思うけど、少しでも気持ちよくなってほしい。彼の顔を時々見つめながら動かしていると「ルシアン……離してくれ」と切羽詰まった声が聞こえた。首を傾げると口から引き抜かれて、そのまま射精された。飛んできた精液が顔にかかって、固まっていると「すまない!」と言って洗い流された。 「あの、もう大丈夫だよ?」 「ルシアンの顔になんてことを」 「別に気にしなくてもいいのに」 「きれいになったな」  顔を至る所から見られてチェックされた。 「初めて口でイッてもらえた。嬉しいな。シャワー浴びなきゃいけないよね」  そう言って離れようとした僕の腕をフェリクス様が掴み「次は俺がやる」と言い出した。 「僕はいいですよ」 「ルシアンにも気持ちよくなってほしい」
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