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心の中で爆発しなくてよかったとほっとしながら、案内してくださるというシリル殿下の後をついていく。一度城の中へ入ったあとに、廊下で繋がった建物の中へと案内された。中央のフロアからさらに廊下を進んだ先にある扉の前で立ち止まった。
「この部屋を使って」
「ご案内ありがとうございました」
「じゃあ、また後でね」
ひらひらと手を振る殿下を見送って、部屋の中に入った。無言でソファに座るフェリクス様の隣に腰を下ろすと、ここと膝の上を指さされた。いつものように横抱きスタイルで座るとギューッと抱きしめられた。
「俺は器が小さいんだろうか」
「そんな事ないですよ」
「ルシアンの事になると余裕がなくなってしまう」
「僕も同じです。取られたくないから必死になっちゃう。攫われた日だって、シリル殿下にフェリクス様のこと好きにならないでって牽制しちゃったんだよ?」
「そうなのか?」
「僕、フェリクス様の事が好きすぎるから。フェリクス様も同じ?」
「うん、俺も好きすぎる。ルシアンのおかげで心が凪いだ。ありがとう」
「それなら、よかった。ベッドで眠りますか?」
「いや、無理だな」
「ん?」
ゆっくりと唇を重ねられて、差し込まれた舌が口腔内を味わうように這った。顔を離すと情欲の灯った瞳で見つめられて、鼓動が高鳴る。
「抱きたい」
首筋に舌を這わせながら彼が囁いた。
「もうベッド汚しちゃうの?」
「きれいにするから」
彼が強く吸い付いてチリっとした痛みが走った。
「跡つけちゃダメだよ。今夜晩餐会なのに」
「別にいいだろう」
「晩餐会前にするってどうなの?」
「だめなのか?」
「だめじゃないけど。あっ、待って」
おしりの割れ目をゆっくりなぞられて体を震わせた。
「あ……んっ、待ってってばぁ」
「ん?」
「ベッドでしてほしい」
彼にしがみついてそう強請ると、ゆっくりと抱き上げられた。
「ちゃんと捕まって」
「うん」
少し触られただけなのに、体は熱を帯びて彼を求めてしまう。扉を開けて目に飛び込んできたのは天蓋付きの大きなベッドだった。
「大きいね。フェリクス様のお部屋と同じ」
「俺は小さくてもいい」
「そうなの?」
「ルシアンを抱きしめて眠るから、そんなにスペースはいらない」
「たしかに。そうかも」
そっと降ろされて、ローブを取ってもらった。シャツとズボン、下履きを自ら脱いで、彼が脱ぎ終わるのを待った。
「待たせた」
首を振ると優しくキスをしてくれた。彼の上に跨るように座ってそのままキスを続ける。彼の手は僕の乳首とお尻を弄り始めて、僕も彼のものに触れて上下に扱いた。ヌルヌルした先走りを纏わせてさらに強く刺激すると、仕返しとばかりに指を中に差し入れられた。
「あっ……あっあ……そこ……あっん……ダメ」
「ダメじゃない」
「すぐにイッちゃうよぉ」
「可愛い」
「あっあっああ――っ」
あっけなくイかされて荒い息を吐いた。
「本当にどんどん感度が上がっているな」
「あっ……やぁっ……」
さらに、キスをされながら掻き回されて、力がどんどん抜けていき彼にもたれ掛かりながら吐息を漏らした。
「腰を動かして、そんなに欲しいのか?」
「欲しい……フェリクス様の挿れてぇ」
「どうしてそんなにも愛らしいのだ」
指を引き抜かれてゴロンと押し倒され、自ら足を開いて彼を待った。
「こんなにも蜜を垂らして……どんどんいやらしい体になっていく」
「あぁぁっ――!」
一気に体重をかけて奥深くまで貫かれた。彼の圧倒的な質量を感じて、さらに快感が駆け巡った。
「もっと……はげしく……してぇ」
もっと彼を感じたい。全部を僕に刻みつけて。僕はフェリクス様のものだって実感させてほしい。腰を持ち上げられてさらに深く入ってきた彼が激しく僕を突き動かした。
「ルシアン……愛してる」
愛おしくて堪らなくて、僕も愛してると言葉にしたいのにうまく口を動かせない。
「ぼく……も……ああっ」
彼の動きに合わせるように腰を動かす。
「あっあっ……イくっ……」
「一緒に……」
手を重ね合わせて一気に絶頂に達し弛緩した。僕の中に温かいものが広がって、ゆっくりと口づけを交わす。
「愛してる」
「僕も愛してる」
優しい眼差しで僕を見つめる彼を見て、幸せで胸がいっぱいになる。いつもならキスをして、そのうちに復活したフェリクス様がゆっくりと律動を開始するのだが、今日はさすがに無理か……。彼の胸に顔を埋めて、鼓動に耳を傾けた。
「続きは晩餐会のあとだな」
「うん……」
「もう少ししたらシャワーを浴びて準備しようか」
「うん」
終わったら目一杯愛してもらおう。そう思ったら憂鬱な晩餐会も乗り越えられる気がした。
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