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会話
一人の少女はいつも泣いていました
「どうして泣いてるの?」
誰かが少女に問いかけます
「悲しいの?」
少女は泣きながら"声"に答えます
「ちがうの…でもなみだが止まらないの、」
声はまた問いかけます
「どうして涙が止まらないの?」
少女は答えます
「わからないの…ごめんなさい、」
少女はまた泣き出してしまいました
すると声が言います
「どうして謝るの?分からないことは悪いことなの?」
少女は泣きながら
「だってしつもんに答えられないもの、悪いことでしょう?」
と言いました
声はこう返しました
「必ずしも答えがある問いはないんだよ。分からなくていいものもたくさんある。」
少女はきょとんとしてしまいました
構わず声は続けます
「必ず答えがある問いは自分自身が"必ず"答えを知っているものだけなんだよ。」
少女はたずねます
「『はい』か『いいえ』とかどこで何をしてたとか答えられるよ、?」
声は「そうだね、でも、」と相づちを打ってから続けます
「でも、それは"必ず"答えがあるとは限らないだろう?自分のことや知っていることならまだしも。」
少女はまたきょとんとしてしまいました
「そうだな…例えば、『今、この場の少女が泣いていたかい?』という問いに、私は『はい』と答えられるが、『その少女はなぜ泣いていたの?』とか『少女はいつもここで泣いているの?』という問いには『分からない』『知らない』としかこたえようがないだろう?知っていたら逆に怖くないかい?」
声の問いに少女はうなずきました
そしてそれと同時におさまりかけていた涙がまた溢れて止まらなくなってしまいました
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