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「どうして泣くの?」
声がたずねると、少女はこう答えました
「わからない、でも、『よかった』って思ったの」
泣きながら、でも何かが吹っ切れてスッキリしたかのような笑顔で。
「どうして?」
先ほどより少し、ほんの少し明るい声でたずねます
「"わからない"ことは今まで"悪いこと"だと、"いけないこと"だと思ってたけど、今はあなたのおかげでそうじゃないって気づけたから、!」
そう言って笑ってみせた少女の目元は少し赤く腫れていた
「じゃあ今度は私の番!私があなたに質問してもいい?」
声は少しの沈黙のあと、「私が問われないのはフェアじゃないからね」と言って、そして「君が私に聞きたいことはなんだい?」と、少しおどけたように少女に問いました
少女は問いでこう返します
「あなたはだーれ?」
すると声は、こう返しました
「分からないほうがミステリアスで良くないか?」
少女は言いました
「答えたくないのなら別にいいわ!なら問い方を変えましょ!じゃーあー、あなたは私のなーに?」
声は、また少しの間をあけました
そして沈黙のあと、こう言いました
「…君が泣き止むまでそばにいようと思ったただのおせっかい野郎さ。君の何とは答え難いな。」
少女はさらにこう問います
「なら、あなたは私を前から知っている?」
声は答えました
「…さあ、どうだろうね?さて、そろそろ時間だ」
少女は「最後!最後に一つだけ!」と声に向かって言います
「この真っ暗なここがどこか知ってる?」
声は答えます
「ここは君の心の中だ、"夢の中"とも言えるかな。さあ、時間だよ」
「待って、待ってよ!」と少女は叫んだ途端、小さな光を見つけました
「あれ…なに…?」
少女がボソッと言ったのに対し、声はこう言います
「さあ、お目覚めの時間だ。なるべくここには来ないでね。でも、もし、、もしね、また辛くなったら、しんどくなったら、いつでもおいで。私は君の味方だ。」
少女は光に向かって手をのばしながら、声に向かってこう言いました
「…ありがとう、ばいばい―――――。」
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