タイトル未定

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 ざぶん   打ち寄せる波に、揺られる、どころではない。ぐわんとせり上がる粘液質な水面は僕を呑み込みたいみたいに顔の半分まで達して、その潮力は僕を少し持ち上げた後に背後で渦をまいてさあっと、いや、ずいと引いて僕を拱く。    何度も、何度も  その繰り返しが自然だ。耳鼻から侵入する水は苦じょっぱくて不快だけど、深いこの海にいっそ頭から呑まれて抗う術を失くした時に、産まれる前みたいに、知覚と引き換えに安楽を得る。沈まぬ様に足掻いて波間をただ漂う、傍目に優雅とはゆうが、youがそうなりゃ苦しいさ。やってご覧。生きてるならとびこんじゃダメだ。僕ら魚じゃないから。ああ、でも、舟から落ちたら。  わざと変な舟に乗った  ドロ舟だった  ずっと波間でアップアップしてた。何年も。諦めた。それでも、もう溺れるまでサボるしかなかったのに、沈む間の苦しさ。    ぶく、ぶく、ぶく  さっきまでいた海面に向けてあぶくが上り、僕はそのぶんずつ降下し硬化し、そういう効果。  こうか?  どうあってももっと苦しくて、やっぱり嫌だと見上げる水面はもう遠く、もう浮かぶ見込みはない。  もうダメだ  底まで沈んで死後硬直。そのあと軟化なんかしてさ。何回も魚やなんかにつつかれて。  藻屑    生前からそうでした。  みんなせいせいしてるかな。
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