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戻らせてもらえないんだ。
言葉は正確に。性格出てるよ。
それらを踏まえて一篇。
まだ目は醒めた。海の底にふらりと舞い降りる刹那。足を出す。直立。砂が舞う。粉雪が風に舞うより少し緩やか。珊瑚。下る遠くに岩礁。そんなに深くは無い。だけど、僕は浮かぶ事が出来ない。見上げる海面は、陽光を歪めてきらきらと。魚が飛ぶ。一歩、踏み出す。おおきな影。人魚姫。きみがいた。人魚だから、もう交わる事はない。良かった。言葉は出ない。もう、あぶくは出なかった。呼吸は要らないのか?酷く歳とった人魚。ホタテ貝のブラジャー。頭で通信。
「きみは行き来が出来るの?」「うん」「きみは僕を好きかい?」「それはさきちゃん次第だよ」「変わらないね、頑固だよ」「そうかなあ」ふふ、と、笑った。
ともかくとちいさく手招き、あの奇妙な上目遣いの悪戯顔。すいすい泳ぐきみ。ついて歩くのは楽じゃない。
「あっ」
「ねっ?」
龍宮城。おさとうの海。たらふく飲んで、太っちまえ。
夢だった。一体の腐乱死体。ぶくぶくに膨れてかわいい小魚たちにつつかれて。深海の王はしあわせ。きみだけと居た時より、もっと。
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