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当然昼寝の時間なので、眠っている園児もいる。
しかし、午前遊びで体力を消耗しきれていないうちに腹が満たされた園児たちは、お構いなしにぴょんぴょん布団の間を飛び跳ねたり友達と喋ったり追いかけっこをしたり絵本を読んだりして、元気いっぱい思い思いに過ごしていた。
私も「眠くないもん」と言いながら、仲の良い友達と鬼ごっこをして騒いでいた。
「(先生、来たよー)」
見張りをしていた園児が小さな声で叫ぶと、遊びまわっていた園児たちは皆自分の布団に潜り込む。
園舎はL字型になっており、職員室から全教室を眺めやすい配置になっていたため、教室からも職員室での出入りが良く見えていた。
先生が廊下を歩いてきて教室をのぞく頃には皆寝ている振りをして、その場をやり過ごしていた。
あの日は秋も深まり、少し日中も寒く感じる頃だった。
その日も「(先生、来たよー)」とその合図で、騒いでいた園児は自分の布団に滑り込む。
しかし私は運悪く、自分の布団から遠い位置にいた。
―――どうしよう、どうしよう!
先生が職員室から教室に到着するまで、十数秒!
私はパニックに陥りながらも、咄嗟に次の行動を考えた。
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