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「立派な家だね」
「でしょう」
お祖母ちゃんは得意顔で家を見上げた。
「ねえ、土蔵って何があるの? もしかしてお宝があったりして」
「見てみるかい?」
「いいの?」
お祖母ちゃんはゆっくりと土蔵の方へ歩き出した。土蔵にはかんぬきが掛かっていた。それを外すとお祖母ちゃんは扉を動かし始めた。でも中々開かなかったので僕が代わった。分厚い扉はお宝を火事や地震から守るためなのだろうか。よっぽど大切なお宝がしまってあるのかもしれない。
「開いたよ」
「ありがとう」
中は真っ暗だった。長年閉め切られていたせいかホコリやカビの匂いがした。奥には長持ちや古いタンスがあった。お宝の匂いもしてくる。僕は宝探し気分でそこらへんの棚を物色し始めた。
「裕次郎、ご先祖様が何故こんな山奥に隠れ住んだのか分かるかい?」
「え? 敵に見つからないようにだろ?」
「そう。ここは隠れるには都合の良い場所だったんだよ」
「山奥だし、蛇や熊も出るしね」
「それだけじゃないんだ」
「え?」
「ここはかつて”姨捨山”と呼ばれ、年老いて働けなくなった老人を捨てにくる場所だったんだよ。だから夜になると捨てられた老人の幽霊がうようよ出るという伝説の場所なんだ」
「え……そりゃそんな所、誰も住みたくないよね。格好の隠れ家だ」
「本当に出るんだよ」
「え……」
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